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2011年5月21日 (土)

voiceなきexitの世界

某氏のつぶやきから

http://twitter.com/#!/joshigeyuki/status/71197452845318145

>残業きつい→辞めればいい。人間関係最悪→辞めればいい。上司のパワハラ→辞めればいい。希望の仕事じゃない→辞めればいい。すべての労働問題は、辞めることで解決できる。「辞められる」ってことは、労働者にとって最強の武器だ。

だから、不満があっても声を上げる必要はない。

だから、ひどい目にあっても抗議する必要はない。

だから、どんな仕打ちにあっても文句を言う必要はない。

voiceなきexitの世界。

労働組合が諸悪の根源という人にいかにもふさわしい発言ではある。

辞めたあとどうやって生きていくのかまでは語らないのが玉に瑕だが。

もう少し賢い人は、辞めたあとどうしてくれるんだ?という疑問に、ベーシックインカムなんかを提示してくれるかも知れない。

だから安心して辞めればいい。あとはベーシックインカムがちゃんと面倒見てくれるから。

それで余計な紛争をしないでおいてもらえるのなら、単なる捨て扶持よりももう少し効率的な活用法ではあろう。

ただ、世の中を少しなりとも住みよいものにしてきたのは、「辞めればいい」じゃなくて「辞めずに声を上げてきた」人々であることは、歴史が語るとおりなんだが。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_3c8e.html(フリードマンとハーシュマンと離脱と発言)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-142e.html(山垣真浩「解雇規制の必要性」)

(追記)

ベーシックインカム メールニュース編集長の「nozuem」さんから、

http://twitter.com/#!/nozuem/status/71717855120474112

>ベーシックインカムは「辞める」という選択肢だけでなく、労使交渉や内部告発をする上で大きな力や様々な選択肢を個人に与えると思います。

というコメントを戴いています。

もちろん、そういう面もあると思います。上記は、城氏のつぶやきからやや強引にベーシックインカム論に揶揄的な言い方に引き付けすぎている感はあります。

ただ、ベーシックインカムがあるから戦える、というvoice増進効果の側面よりも、ベーシックインカムがあるから戦わずにさっさと逃げられるというexit促進効果側面の方が、現代の風潮的にはより強く出ているような気はします。nozuemさんがそうだという意味ではありませんが。

(再追記)

城繁幸氏が、本気でexitこそが労働者のための最善の道だと考えているのであれば、労働組合を罵りまくる前に、まず真っ先に戦うべき相手がここにいますが・・・、

http://twitter.com/#!/roubenshiomi/status/72029575609196544

>過労死ライン以上働かされ耐えられず退職を申し出たら「損害賠償請求するぞ」と脅され、退職したら本当に2千万円の損賠請求訴訟を起こされた事件の証人尋問準備中。意味不明な会社側の証拠を解読したところ、「従業員モチベーション低下数値」という非論理的な数字を損害主張したものだった。脱力・・

http://twitter.com/#!/roubenshiomi/status/72029892719546368

>しかし、法律家は論理的思考が命なのに、この事件の会社側代理人はこんなものをそのまま証拠に出して弁護士として恥ずかしくないのだろうか・・・

exitするにも、必死の思いでvoiceを上げなければならない現実もまたあるわけで。

こういうときにこそ、その昔の学生援護会のCMではないですが、「職業選択の自由~、あはは~ん」と唄ってもらいたいものですね。

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コメント

私もこれは暴論だと思いました。ただ、氏の発言は「公務員給与のカット」の文脈で出てきたもので一般的な労働者(いわゆるブラック企業など含む)までその対象としているのかは不明ですので、少し筆が滑ったものかなと感じました。

城繁幸氏は転職情報誌・転職情報サイト・資格講座・転職起業セミナーの業者から金をもらって書いてるんじゃないかと想像できるくらい、徹底してますね。もちろん、公務員・民間問わず、「労働者の賃金は辞めないギリギリまで賃金下げてOK」「給料下がるのが嫌なら転職・起業の準備と努力を」が氏の持論で、転職市場のパイを大きくすることで人事コンサルタントたる城繁幸自身の給料を増やしたいだけですよね。

全くよく言いますね。

本当に、労働者がホイホイ辞めたら、経営者は
困りますし、城氏だって、おまんまの食い上げ
ですよ。

以前は著作を読んでみたりもしていましたが、
最近、どんどん発言がおかしくなってきて、
一体どうしちゃったの~? と心配しています。

2000年代前半に医療バッシングが起こったとき、当初医療側は誠実に対応しようという空気が主体的でした。確かに医療自身が無謬性にとらわれ、医療過誤を隠蔽しようとする文化が一部にはみられたことや、精度管理を個々人の努力や倫理観にまかせ、劣悪な医療を野放しにしてきたことなど、医療側に問題があったことも事実です。
そのため、医療側は医療事故の収集や公開、各種ガイドラインの整備、インフォームドコンセントの徹底、患者対応の改善などの改善策を講じるとともに、医療の不確実性を社会に訴えて理解を得ようとしました。しかし、怨望にとらわれた世間の声はさらに大きくなる一方で、のせられたマスコミは時にはでっち上げに近い記事を書いて医療を貶め、裁判所は理不尽な判決を量産しました。

>すべての労働問題は、辞めることで解決できる。「辞められる」ってことは、労働者にとって最強の武器だ。

実際、多くの医師が「いやならやめろ」という侮蔑をうけて、逃散することでしか事態を改善する方法がないとあきらめの境地にいたり、基幹病院、救急、産婦人科、小児科等の崩壊に至ったわけです。
voiceなきexitの世界がどのような価値観を生み出すのか。社会が他者のさまざまな働きによって支えられていることを失念した結果生じた他者への感謝や奉仕の精神の消失、他者に対する揚げ足取りや過剰な要求に代表される怨望にとらわれた世界。住みにくいだけではなく、社会に害をもたらすのは歴史上明らかであるように思います。

追記です。ただ、労働貴族という言葉が示すようにvoiceが大きくなりすぎて社会をゆがめる権力になることもある。また、話し合いで解決の糸口がみえない激しいいじめにあっている人が、転校といったexitに出ることは否定されるべきではないでしょう。自殺という最悪のexitを避けるためにも。結局、政府と市場のバランスが大事であるのと同様、個々の具体的な事例と照らし合わせながらvoiceとexitのバランスを考えていくしかないのでしょう。つくづく思うのは、極端な主張は社会に有益な結果をもたらす可能性は低いという教訓です。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110929/asi11092900180000-n1.htm

voiceを上げたら「嫌ならミヤンマーへexitしろ」の合唱がどこかで

Voiceからexitへ - 池田 信夫
アゴラ 4月10日(火)12時14分配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120410-00000306-agora-pol

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51783504.html

「西洋では重税に対して国民が議会を組織して抵抗し、法律の制定を求めた。これが法の支配の始まりである。しかし中国では、重税をきらう商人は他の地域に逃げた。ハーシュマンの有名な分類でいえば、西洋の抵抗はvoiceだったのに対して、中国ではexitで重税に歯止めをかけたのだ。

Exitは自由意思にもとづく経済メカニズムだが、voiceは政治的な交渉なので、その効率の違いは明らかだ。しかし戦争の続いていた西洋では、exitで隣国に逃げることができなかったため、効率の悪いvoiceを取らざるをえなかった。その制度化として議会ができたが、それは近代国家にとって不可欠の条件ではない。移動の自由さえ保証されていれば、都市のリーダーは選挙で選ばれる必要もない。

このようにexitによる地域間競争で税率を抑制した中国は、戦争と重税に苦しむヨーロッパよりも豊かだったが、18世紀以降、軍備のために工業の発達したヨーロッパの生産性が向上し、軍事的に世界を支配した。このため西洋の民主制が最高の政治システムだと思われているが、平和なときは中国のような地域間競争のほうが効率的だ。それが20世紀末から中国が急速に成長した一つの原因である。

主権国家や民主制は、人々が国外にexitできなかった時代のレガシーであり、グローバル時代には適していない。おそらく21世紀前半には主権国家は支配力を失い、多くの都市国家がグローバルに競争するようになるだろう。大阪はそのパイオニアになる可能性がある。

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