原子力発電所の事故対応等における労働安全衛生対策強化に関する要請
本日、連合は、官邸、厚生労働省、文部科学省に対し、原子力発電所の事故対応等における労働安全衛生対策強化に関する要請」を行ったとのことです。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2011/20110520_1305893116.html
写真は、團野副事務局長が福山官房副長官に渡しているところですね。
要請書はこちらですが、
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/data/20110520_yousei_kantei.pdf
いずれも重要な項目なので、省略せずにそのままコピペしておきます。
まず基本認識
>3月11日の東日本大震災に伴い発生した、福島第一原子力発電所の事故後、現場では労働者が懸命の復旧作業にあたっています。こうした労働者が、国民の生命を守るために、いわば「決死の覚悟」で作業にあたっていることに、多くの国民が賛辞を送っております。しかし、作業にあたる労働者の使命感や覚悟にまかせるだけで済ませて良い問題ではありません。政府の責任として、こうした労働者自身の命と健康も、同じく守らなければなりません。また、福島第一原子力発電所の半径20㎞圏内の警戒区域および計画的避難区域においても、ライフライン整備や公共サービス業務に携わる労働者が存在しています。
これらの業務は原子力発電所事故の一日も早い収束と地域の復旧・復興のためにも最優先の課題ではありますが、同時に、その業務に携わる労働者の安全衛生対策には万全を期することが不可欠です。
東京電力の「福島第1原発事故収束に向けた工程表」によれば、事故の収束に向けては数ヶ月間にわたる長期間の作業の必要性が見込まれており、被ばく対策をはじめとした労働安全衛生対策の強化は喫緊の課題です。
連合は、復旧作業等にあたるすべての労働者の命と健康を守る観点から、以下のとおり労働安全衛生対策の強化を求めます。
具体的な各項目は、
1. 福島第一原子力発電所の事故対応に従事するすべての労働者への労働安全衛生対策の強化
(1) 発電所内で作業にあたるすべての労働者の安全確保は、第一義的には事業者および原子力事業者が行うべきものであるが、未曾有の事態であり、国の責任として、救急医療体制の整備など、必要な役割を果たす。
(2) 発電所内で作業にあたるすべての労働者の被ばく線量については、電離放射線障害防止規則(電離則)に則って管理を徹底するよう指導を強化する。特に、内部被ばく防止策とホールボディカウンターによる管理を徹底するよう指導・監督する。また、国としても十分な数のホールボディカウンターの確保に向け支援する。
(3) 作業にあたる労働者の過労防止のため、交替要員の確保など、当該企業が必要な措置をとるよう、指導・監督する。
(4) 電離則に規定された安全衛生教育を、作業にあたるすべての労働者に徹底させる。また、今回に限った措置として、緊急作業時における実効線量の限度を100mSv から250mSv に引き上げたことに対応し、電離則に定められた教育の内容および時間数を拡充する。
(5) 放射線被ばくについては、長期的な健康管理が必要であるため、離職後を含めて長期的に被ばく線量を管理できるデータベースを早急に構築し、これに基づいて健康管理を実施する。
(6) 作業にあたるすべての労働者に対して、熱中症対策や作業環境の改善などの健康管理体制を確立するとともに、メンタルヘルス対策にも万全を期すよう指導する。また、国としても必要な援助を行う。
(7) 被ばく線量の限度との関係で、一定期間原発業務に従事できなくなる労働者に対する、解雇などの不利益な取り扱いがないよう、当該企業への指導を徹底し、企業による配置転換、職業訓練や転職支援に対して、必要に応じて国としての助成を行う。
いずれも重要ですが、最後の(7)は狭義の安全衛生対策だけでは及ばない部分であるとともに、ここがしっかりしていないと「仕事ができなくなったらまずいだろうから放射線量を少ないことにしておいた方が良いだろう」という話になりかねないところです。
2. 警戒区域、計画的避難区域およびその周辺で働くことを余儀なくされた労働者に対する労働者への安全衛生対策を強化する
(1) 一定の放射線量を超える環境下で働く労働者に対しては、保護具の装着、被ばく線量の管理、上限の設定、健康診断の義務づけなど、電離放射線障害防止規則を準用する。
(2) 上記以外の場合であっても、周辺区域で働く労働者の安全確保のために必要な措置を定めたガイドラインを示す。
これ、例の飯舘村の工場とかを想定しているんでしょうか。雇用機会と安全衛生との関係が悩ましいところです。
3. 原発事故収束までに長期間を要し、多数の労働者が働くことが予想されるため、放射線量や健康への影響などについて、政府として一元化された正確な情報の開示を行う。
4. 文部科学省の「放射線審議会」に労働災害の専門家を委員に加えるとともに、今回の事故に対応するための措置として、労働政策審議会労働安全衛生分科会の下に特別の「部会」を設置して定期的に開催し、状況報告と対策を議論できるようにする。
これに対する回答は、連合HPによると、
福山官房副長官は「官邸としても、関係省庁と連携ししっかり取り組んでいきたい」との発言があった。
また、林文部科学大臣政務官は「労働環境はもちろん、正確な情報発信は大変重要。関係省庁で連携の上、一元的かつ一体的に取り組んでいきたい」との発言があった。
小林厚生労働大臣政務官は「労働者の安全は最優先であり、できることはやっていきたい」と述べ、本日付で「福島第一原発作業員健康管理等対策推進室」を立ち上げ、政府としても作業員の健康管理対策等の推進に向け全力を挙げて取り組むとの発言があった。
とのことです。
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