『DIO』5月号
連合総研の機関誌『DIO』5月号の特集は「新しい労使関係のかたち」です。
http://rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio260.pdf
能力開発における今後の企業内労使の役割 久本 憲夫……………… 4
現場力の向上に向けた日本の雇用関係の展望 石田 光男……………… 8
労働組合再活性化の諸概念と日本の組合活性化の課題 鈴木 玲…………………12
の3本立てですが、一番じっくり読まなければならないなと思ったのは石田光男さんの論文で、これ、なかなかまとめにくいのですが、基本概念は彼が表にしているので、それをそのままコピペしておきます。
ベースは「賃金の社会科学」などで示された考え方だと思うのですが、最後近くで
>日本の雇用関係の利点を損なわずに、無理な働き方をいかに抑制するかという課題
>この課題を解くにあたっては、現にあるルールを少しだけ改善してみてその影響をしっかり見定めるという姿勢が重要だと思う。例えば目標面接シートに、「チャレンジ目標」などの「仕事のレベル」の記載だけでなくて「労働時間」の記載欄を設けたらどうなるのだろうか。
>第一に、個々人が事情に応じて提供すべき労働時間を自己申告する権利を持ち、自分に相応しい働き方の主張が行える。第二に、事業計画に目標面接を通じて集計された投入労働時間がうめこまれることになり、事業計画の完遂のためには、その個々人の目標労働時間の再調整、もしくは採用増が必要になり、これら協議が期初の労使協議事項に含まれることになる。第三に、所定労働時間以下の労働時間に対応した基本給や賞与の減額率を労働協約で定める必要が生ずる。第四に、36協定のみならず、組織の各段階に設けられる月次の生産計画・労働時間・勤務体制協議は、とくに職場レベルでの協議は組合員全員の労働時間実績の一覧表が示され、異常値の原因が深く協議されることになる。それを通じて職場では個々人の仕事の進め方についてのコミュニケーションがより一層求められることになる。
といった興味深い提案がされています。
あと、ジャコビーさんの「米国における労働と金融」が読み物としては面白いです。
また、JILPTの呉学殊さんの合同労組についての報告は、私らにとってはいつも聞いているので既知のことですが、幾つも興味深い知見を示しています。
その後に、「経済危機下の外国人労働者に関する調査報告書−日系ブラジル人、外国人研修・技能実習生を中心に」の内容紹介が載っています。これ、実はわたくしも委員として参加しておりまして、第2章「日本の外国人労働者政策―労働政策の否定に立脚した外国人政策の形成と破綻」を執筆しております。また、第6章のウラノ・エジソンさんが執筆した「越境するブラジル人労働者と経済危機―長野県上田市のヒアリング調査を通じて」のもとになった上田市のヒアリング調査にはわたくしも同行して、いろいろと興味深いことを聞かせていただきました。
ただ、報告書のブツ自体はまだできていません(というか、少なくともわたくしのところには届いていません)。
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