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2011年3月26日 (土)

職場の擬態うつ病

毎月1回『労基旬報』に連載している「人事考現学」ですが、3月25日号は「職場の擬態うつ病」について書いています。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo110325.html

>前回に引き続き、労働局あっせん事案から興味深い事例を紹介したい。我々が分析対象とした1144件のうち、労働者側に何らかのメンタルヘルス上の問題があると見られるケースは69件あった。その中には、使用者、上司や同僚の言動によって精神疾患が発生したと主張するものから、業務外の原因により生じた精神疾患による休職の扱いをめぐる紛争まで、さまざまな類型が含まれる。病名としては「うつ」という文字の含まれるケースが40件と過半数を占めるが、必ずしも厳密な意味での「うつ病」とは言いがたいものも見られる。このうち5件は近年精神医学方面で指摘される「擬態うつ病」の特徴を示しており、いくつか紹介しておきたい。

 1件目は、パワハラでうつ病になり退職したと主張する事案であるが、本人の主治医と産業医のいずれもが「発症原因は業務上ではなく、上司4名との人間関係」と明言している。主治医の診断は「抑うつ気分」であるが、「相手を見据えて背筋を伸ばし大きな声でよどみなく、自身で記載した文を見せて、上司を非難する言葉を並べ」ていると述べ、産業医も「訴状内容はあまりにも一方的な自己愛他罰的な文章」、「自己嫌悪的な発想が見受けられず、いわゆる典型的な「うつ」の、心のエネルギーが枯渇して無気力無表情となり下を向いて小声で引っかかりながら話すような様子はまったく見受けられない」とするなど、人間関係の不快感を「うつ」と称しているようにも見えるが、おそらくそれゆえに会社側は80万円での金銭解決に応じている。

 2件目は、皆の前でミスを公表され、うつ病で休職し退職したという事案である。産業医は「うつ病ではないが、うつ状態にあるのは確か。人格面に問題があり、自己愛が肥大化している」と述べ、主治医も「診断書は積極的に書いたものではない」としている。本人は「社員のまま私が自殺なんかすれば会社の名前に傷がつくでしょう。リストカットという症状も出てきているし」等と、自らの症状を逆手にとって脅迫的な言辞を吐いており、「うつ」とは認めにくいが、これまたそれゆえに会社側は100万円での金銭解決に応じている。

 3件目はそもそも「同僚看護師の説明のためにうつ病になってしまう」という訴えであり、診断書も存在しない。本人によれば「同僚看護師に長時間、病院のシステム、業務内容の説明をされ、内容が面接した看護部長の言ったことと食い違い、混乱を起こしてうつ病になった」とのことだが、会社側によれば、本人から毎日のように2-3時間のクレームの電話があり、職員がノイローゼになるくらい嫌がらせをしているとのことで、おそらくそれもあって15万円での金銭解決に至っている。

 近年における擬態うつ病の隆盛を考えると、企業がこのようなケースに直面するケースは決して少なくないと思われる

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コメント

いわゆる新型うつ病と呼ばれているものですね。すべての物事に対する興味、気力の消失、不眠、自責的、病気を認めようとしないといった従来のうつ病の症状とはまったく異なり、趣味など自分にとって楽しいことは積極的にやる、他責的、うつ病であることを積極的に利用しようとするなど。医療従事者の専門サイトであるm3.comでも、新型うつ病と怠けの境界について議論がありました。

うつ病は万人に起こりえる病気ではないと聞いた事があります。

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