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2011年3月24日 (木)

植上一希『専門学校の教育とキャリア形成 進学・学び・卒業後』

82363 植上一希『専門学校の教育とキャリア形成 進学・学び・卒業後』(大月書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。本書も、角田三佳さんが編集担当とのことです。いいお仕事をされていますね。

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b82363.html

さて、本書は、

>多くの青年たちを職業世界へと送り出しながら、これまで表面的にしか評価されてこなかった専門学校。教員や学生への聞き取り調査を中心に、教育と学びの実態に迫り、とりわけその現代的な意義を明らかにする。

これまでの「表面的」な研究とは、植上さんにいわせれば、

>専門学校教育を扱った研究においてよく見られるのが「実学の教育」や「実践の教育」として論じるものであり、ステレオタイプな議論に終わるものも少なくない。また、それらを「即戦力」重視として捉え、専門学校教育は「真の職業能力」を養成する教育からすると問題であるといった議論もある。

>専門学校進学を扱う場合には、大学等進学の「代替的進学」と捉えるものが少なくない。・・・そこには、条件さえあれば専門学校ではなく大学に進学するはずだ、という研究者の認識がある。

というようなものですが、それに対して植上さんは

>第一は、青年期教育として専門学校教育ならびにそこでの学びを捉える視点。・・・彼らが専門学校教育を通して青年としていかなる学びと成長を遂げているのか・・・。

>第二は、単純に就労や「即戦力」要請という視角のみではなく、それらも含んでより広い意味合いで職業教育を捉え、その職業教育という観点から専門学校教育ならびにそこでの学びを捉える・・。

という二つの軸で、専門学校の教員や学生への丁寧な聞き取りをもとに、新たな視座を提示していきます。

目次は次の通りですが、

まえがき

序章 本書の目的と課題
 はじめに
 1 専門学校に対する従来の視角と専門学校研究の必要性
 2 専門学校研究の現在と本書の目的・課題
 3 各章の課題と構成
 
第1章 現在の専門学校をめぐる状況
 1 現在の専門学校の概要
 2 中等後教育機関としての全体的な発展――制度化~一九九〇年代半ば
 3 転機を迎える専門学校――一九九〇年代半ば以降
 
第2章 専門学校の教育
 1 テーマへのアプローチの方法
 2 専門学校教育の制度的規定
 3 資格教育分野の教育の特徴
 4 非資格教育の教育内容編成の特徴 
 5 専門学校の教育内容の特徴
 
第3章 専門学校への進学
 1 専門学校進学者の概要
 2 進路決定過程
 3 進学要求
 4 専門学校進学の特徴
 
第4章 専門学校における学びと成長
 1 専門学校生活の概要
 2 専門的知識・技能を契機とする学び・成長
 3 教員の指導を契機とする学び・成長
 4 職業世界の「現実」を契機とする学び・成長
 5 仲間・先人との交流を契機とする学び・成長
 6 専門学校生の学び・成長
 
第5章 卒業生にとっての専門学校の職業的・内面的意義
 1 就職時点における専門学校の効果と意味
 2 就職後における専門学校の効果
 3 就職後における専門学校の意義
 4 卒業生にとっての専門学校の意義の特徴
 
終章 専門学校におけるキャリア形成研究の意義と課題
 1 専門学校における教育とキャリア形成の実態と特徴
 2 青年のキャリア形成をめぐる現代的な検討課題


あとがき

一つ一つのインタビューがどれも面白いのですが、それは是非手にとってご覧いただきたいとおもいます。

本書については、既に田中萬年さんがブログで紹介していますが、

http://d.hatena.ne.jp/t1mannen/20110321/1300658425

公共職業訓練の立場から、こういう感想を漏らされています。

>専門学校と公共職業訓練とは深い協力関係もあり、また、競合関係もある。後者の競合関係のみをみると職業訓練関係者からは複雑な気持ちが沸くかも知れないが、受講生の立場から見た専門学校と職業能力開発とは同じであり、よりどちらが魅力が有るか、だけが問題である。専門学校の学生達の考え、思いを無視すれば公共職業訓練とて批判されるであろう。本書から学ぶべき事は少なくないといえる

いやむしろ、職業教育訓練機関という意味で、学校(一条校)としての専門高校やある種の大学も含めて、専門学校も職業訓練校も、「ジョブ型」教育機関として包括的に捉えられるべきなのではないかと、私は思っています。

植上さんが専門学校に対するステレオタイプとして上げた偏見は、まさに田中さんが職業訓練校に対する偏見として繰り返し反撃してきたものですし、かつて本ブログで話題になった普通科志向による職業科への偏見とも通じるものでしょう。

そしてそれは、メンバーシップ型教育機関の肥大化によって生じたいわゆるマージナルな部分においてこそもっとも強くなるという点でも共通しているように思われます。

先日、全労済協会主催の公開研究会のあとの懇談で、広田照幸先生などと続きの議論をしたときに、「職業教育にこそ(その職業を基礎づける)哲学教育が必要」というような話をしたことも、この話につながるのかも知れません。

(余談)

このように新著をわたくしに送っていただく皆さまには、心より感謝いたしております。いただいた御本は、できるだけ早いうちに読了して本ブログ上で紹介していくこととしております。

ただ、世の中には、

http://twitter.com/hidetomitanaka/status/50734334453366785

>濱口桂一郎は単に自分の働き場所を保持するためには人格攻撃も辞さない腐敗した人間。そんなものをリンク先に選んでいるとはちょっとリツイートしたことを後悔している。僕の判断では、濱口を評価する人は信用できないと思っている。

http://twitter.com/hidetomitanaka/status/50734984725676032

>例外みとめるときりがないので絶対則。評価している人間はブロック。なんなら名乗り出てほしい、手間かからないので。それだけこの人物の公私混同のやり口に怒っている。

というような御仁もおられるので、このようなたぐいの人に信用されなくなったり、ブロックされたりすることを懸念される方は、その旨仰っていただければ、ブログ上ではなくメールで感想を申し上げたいと思います。

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