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2011年3月22日 (火)

戦時と戦後と復興期またはヘタレ人文系インテリの勘違い

これもまた今回の大震災の当事者である、宮城県で大学教授をされている小田中直樹さんのいささか辛辣な指摘。

http://d.hatena.ne.jp/odanakanaoki/20110322#p1

避難所の活動に参加した小田中さんは、現地にいないインテリができるのは、タイミングを良く見計らって提言することだと述べます。タイミングとは、

戦時:人命救助が優先されるが、行政をはじめとする指揮命令系統は不在=現場一任。沿岸部は、まだこの状態が残っている。

戦後:避難者のケアが重要になるとともに、指揮命令系統が復活してくる。仙台市内陸部などは、この段階の終わりに接近しつつある。

復興期:ゴミ収集や日常生活物資の搬入など、日常生活復帰が本格化する。

です。

このタイミングを外すと、どういうトンデモな提言になるか、小田中さんがあえて標的にするのは、3月17日付け「共生社会をつくる」セクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク「東日本大地震の被災地におけるセクシュアル・マイノリティへの対応に関する要望書(第2版)」という、平時であればまことにもっともな提言。

しかし、3月17日という「戦時」にこんなものを発するのは「現場の足を引張る以外の意味を持たない」。

以下、小田中さんのやや辛辣な指摘をそのまま引用します。

>ちなみに、ぼくが参画したいくつかの避難所の、「戦時」から「戦後」にかけての状況は、同要望書の項目ごとに以下の通り。

1)救援活動は「男女別」に限定しないでください。

==>男女別に限定するなんて余裕はない。大体トイレは非常用なので共用だし、避難所は来る人から順番につっこむしかない。「戦後」になってようやく、住所ごとに大まかにくくって再配置することができた。

2)同性パートナーを含め、非婚/未婚パートナーとの関係を「世帯」として扱って下さい。

==>世帯構成を気にする余裕はない。まとまってやってきたグループを、片っ端からつっこむのみ。

3)セクシュアル・マイノリティの健康ニーズについて知識のある医師やカウンセラーを配置してください。

==>どこにいるんだ、そんな人? たしかに仙台にもいるが、自分の避難で精一杯。避難者全体の健康ニーズすら、ボランティアでまわってくるお医者さんのおかげで、どうにかカバーできたのである。それでも、暖房もないなかで、インフルエンザの子供たちが避難していたんだぞ。ぜーたく言うな。

4)セクシュアル・マイノリティに対するハラスメントや性暴力への予防措置および被害者の相談・支援体制を確立してください。

==>だれがやるんだ、そんなこと? 同上。

5)災害対策本部は、セクシュアル・マイノリティに関する専門知識や支援経験のある人を登用し、意見を聴取してください。

==>災害対策本部すら流されてしまったところが沿岸部自治体には一杯あるし、仙台市内でも(区ごとに本部が置かれているが)しばらく機能しない本部があったというのに、ムリいうな。

6)今回の災害を機に、単身者や同性世帯に配慮した緊急連絡用カードを発行して下さい。

==>これは「復興期」以降の問題だから、全面的に賛成。

まあ、そもそも「被災地のセクシュアル・マイノリティの皆さんのニーズが満たされているか、暴力や差別、偏見にさらされてはいないだろうか」というネットワークの現状認識がズレまくっている。はっきりいって、性的少数者をいじめるなんていう「余裕」は、「戦時」と「戦後」にはない。問題が生じるとしたら、それは余裕が出てくる「復興期」以降である。

無関心か協力か、どちらかしかないのだ。生きるためには

で、小田中さんの結論は、

http://d.hatena.ne.jp/odanakanaoki/20120311#p1

>同情するならカネをくれ。

ということなのですけれど。

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コメント

小田中氏は「ヘタレ人文系インテリ」と自称もされているので(「現地にいる」と「現地にいない」で区別されていますが、いずれも「ヘタレ人文系インテリ」ではある)、本エントリのタイトルは小田中氏を批判したもののように誤読されるのではないでしょうか?

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/shinsai/201103/518998_2.html

>このような極限状態では逆に、めそめそしたり、ふさぎ込んだりする者はほとんどみられません。睡眠薬を要求する患者もそれほどいません。子供を亡くした職員が翌日から働いています。このような状況でテレビで解説者が「大事なのは心のケア」などと繰り返しているのを見ると、違和感を禁じ得ません。

医療従事者の専門サイトである日経メディカルオンラインでも被災地の医療に関する特集を組んでいますが、医療に関してはいまだに戦時あるいは戦後の状態です。多くの病院が被災し、残った病院の機能も十分に回復していないのに受診を必要とする患者さんであふれかえる。多くの職員も被災し、ガソリンがないため出勤できない職員もいる。そのため残った職員は不眠不休で働かざるを得ないなど。だからこそ上記のような率直な思いが出てくるのでしょう。ただ、今後復興期に入れば医療従事者を含めて多くの方が親しい人を失った衝撃に苦しむことになる可能性が高いのは間違いないので、やはりこれもタイミングの問題なのでしょう。

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