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2011年3月19日 (土)

日本破壊計画@朝日ジャーナル

12428 なんというブラックユーモア!

千年の一度の大地震と大津波とそれが引き起こした原発事故により、日本列島の東海岸が破壊されつつあるそのまっただ中に、「日本破壊計画」というタイトルの特集を組んで朝日ジャーナルを送り込むとは!

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12428

このタイミングのブラックぶりに比べると、中身は正直言ってそれほどのものとも思えませんでした。

あえてひとつ記事を引けば、やはり自らも魔法使いの弟子であった山口二郎氏の「政党政治は生き残れるのか デマゴーグを台頭させた政権交代の竜頭蛇尾」でしょうか。

次の文章は、そういう手合いを繁殖させた政治学者、政治評論家、政治部記者たちにこそ熟読玩味されるべきでしょう。

>・・・これらの勢力には共通した特徴がある。既成政治の否定を基調とするのは当然として、公共セクターの仕事に対する不信感を持った都市住民を支持基盤としている。そして、世の中の問題を単純化し、議会や公務員を叩くことによって、問題が解決するという幻想を振りまいている。ローマ帝国における民衆支配の道具としてパンとサーカスが用いられたが、現代日本ではパンは減税、サーカスは議員や公務員に対するバッシングである。

何重もの意味合いにおいて、この文章は皮肉です。

まずは、まさにその直前に大地震と大津波で多くの建物が破壊され尽くしている惨状を目の当たりに見たはずの名古屋市民たちが、それが何を意味するかを何ら考えた形跡もなく、「減税日本」と称するデマゴーグ集団に第一党の座を与えるという怪挙を平然と行ったことを同時代的に予言していたかのように見えること。

この点については、常夏島日記さんが意を尽くしたエントリを書かれていますので、引用しておきましょう。

http://d.hatena.ne.jp/potato_gnocchi/20110314/p1税金嫌いって付和雷同してる連中のアタマん中をのぞいて見たい)

>この選挙があったのは、東北の大地震の直後です。全てのテレビのチャンネルが、東北地方の、陸前高田や大船渡が壊滅し、仙台平野を津波が浸食して住民が営々と積み重ねてきた全てを掃き流してしまう様を映しているその同時期です。膨大な資金と時間を費やして形成された社会資本が喪われ、その復旧には、同じくらいの膨大な資源の投入が必要であることを目の当たりにしながら、です。

流された道路、水道、農地などには、長年にわたって猛烈な額の税金が投入されています。その税金と歴史とは、そこに住む住民が日本国の標準からして守られるべき生活を守るために投じられたお金と時間です。社会資本形成には、公的な資金投入が欠かせません。その上に、民間の旺盛な資本投入があります。そうやって、震災前の仙台もそうですし、幸いにして地震にあっていない名古屋も、豊かな生活を享受できていたのでした。

にもかかわらず、その膨大な社会資本が偶然の天災により壊滅的な破壊を受け、これから大きな税金の投入が必要になるというそのタイミングで、名古屋市民は、「税金はこれ以上払いたくない」という政党に最大の支持を与えたわけです。

うーむ

>公的支出が最大限必要とされているまさにこのタイミングで、その公的支出の究極的/最終的な資金調達手段である増税に原理的に反対というのは、どういう感覚から出てくるのか、誠に不思議に思います。誤解を避けるために言えば、河村市長や田中氏は、政治的/経済学的良心に基づいて、心の底からの主張として、一定の前提の下に、増税しかるべからず/減税しかるべしという主張をしているのだと思います。また、そのことの結果もちゃんと予見した上で、それぞれの方の価値観に基づく利益衡量に基づいて、そのような主張をしているのだと思います。しかしながら、それに付和雷同して税金払いたくないという人たちは、河村市長や田中氏の考える結果をちゃんと分かった上でやっているのでしょうか。美味しいところだけ自分のところに回ってくるとかと言う妄想をしていないのでしょうか。

仮にそうだとすれば、愚かでなければ無責任な議論だと思いますし、結果として起こることについてその人たちが苦しんだとしても、あまり同情はしにくいものです。平常時だって、減税と財政支出の減に伴うさまざまな影響はあるのでしょうし、一番考えたくない例ですが、名古屋の市民は、自分たちの街が仮に災害で苦しむことになったときに、復興するお金はどこから出てくると思っているのでしょうか。

たんなるたかり根性でないことを強く期待します

しかし、大地震から1週間以上経ち、破壊され尽くした地域を再建するためには、幸いにも破壊されなかった地域の人々がきちんと負担すべきものは負担しなければならないという理路が、少しずつ浸透して来つつあるようにも思われます。パンとサーカスだけを売り物にするこういう無責任な勢力への支持は、これから次第に失われていくことになるのではないでしょうか。

黒川滋さんも触れていますが、

http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2011/03/post-b53e.html(原発事故雑感)

>今回の地震を受けて、地方交付税制度の存在そのものを何かと批判する東京の文化人や評論家に対して、少し冷静な議論を求められるのではないかと思う。
今まで東京が東北を養っているんだという論調で地方交付税や地域主権が語られてきたが、原発の事故、入ってこない米や野菜、組み立てられたな自動車などを見て、東京は東北や新潟、長野などと相互依存関係にあったんだということを改めて認識させられた。

東京人が、自分たちだけの力で豊かさを生み出しているかの如く思いこんで田舎者を「俺たちから税金をむしり取って無駄遣いする馬鹿な連中め」と見下していた傲慢さが如何に空疎なものであったかが、東北地方の福島に押しつけてきた原発が津波で破壊されただけで計画停電で大騒ぎになる自分たちの実相を目の当たりにすることで、(少なくともものの道理が分かる人々には)理解されて来つつあるようにも思われます。

もちろん、復興のために増税をという至極まっとうな政策を耳にしただけで狂ったように騒ぎまくる一部の特殊「りふれは」はネット上ではなお意気盛んのようですが、そのようなデマゴーグが存在していられる領域は、大震災後の日本にはあまり残されては居ないでしょう。というより、もし残されるようであれば、それこそ言葉の正確な意味での「日本破壊計画」となってしまうでしょうから。

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コメント

言及いただきありがとうございます。経済政策的には、どちらかと言えば私は揚げ塩風味のりふれは(笑)なのですが、それにしても減税日本はないだろって思いますし、有権者は、事業仕分けのムダ排除で20兆円で子ども手当とかという嘘に騙されて3年もたたないうちに同じような言葉に騙されているのは、誠に懲りないなあと思うものです。
そういう有権者だから、じゃ、それにつけこんでみようか、というような不埒な有識者が出てくるわけで、さて、この悪循環は、いつになったら終わるんでしょうかねぇ、と思います。

時々ROMらせて頂いている「りふれは」支持者です。
自分が(恐らくリフレ支持者の多くも)一番懸念しているのは「増税すれば本当に税収が増えるのか?」という点です。増税の結果、景気がさらに落ち込んで税収減となる可能性もあるわけでして。そうなったら目も当てられません。
個人的にはもう一点、増税するとして被災者は免除すべきと思いますが、どうやって切り分けるのか、切り分けコストは割に合うものなのかという点も気になっています。仮に増税して税収が増えても徴税コストで消えてしまっては意味が無いですから(まさか被災者も一律に増税するつもりではないですよね)。

当面は増税よりも復興用の臨時国債を日銀に直接引受してもらったほうが良いのではないしょうか。

減税日本については。。。今の民主党と同じで、しばらくしたら「こんなはずじゃなかった」的な反応が出てくるんだろうなぁ、としか思えないですねぇ。

選挙において一票の価値を全てフラットにしろとか言ってる連中も
>>東京が東北を養っているんだ
>>東京人が、自分たちだけの力で豊かさを生み出しているかの如く思いこんで田舎者を「俺たちから税金をむしり取って無駄遣いする馬鹿な連中め」と見下し

根っこの思想はこういう考えなのでしょうね。

震災復興税ということで、徴税コストが安くかつ確実に税収が増えるということならば、ずばり消費税。

で、被災地域の方々には、各種負担(国保料や医療費自己負担額の低減、住宅再建費用の助成等々)の低減や手厚い支援措置で消費税負担増以上の実質的負担軽減を図るということでいいと思います。

どっちにしろ増税しないと震災復興の財源はありません。

>どっちにしろ増税しないと震災復興の財源はありません。

いや、そこで「インフレ税」という「増税」方法もあるよ、と言ってるのが「りふれは」です。
その方法が他よりましなのかどうかの判断はお任せしますが。

 皆さん、今晩は。ルート134です。

 東日本大震災の被災者に対し、改めてお見舞い申し上げます。

 このウェブログの掲示板では名古屋市議選についても盛り上がっているようですね。

 それはともかくとして、私は、今回の復興財源は、国債を日本銀行に直接引受させるしかないと思っています。

 復興のための消費税増税ですか? 私は論外であると思います。消費税で景気が冷え込み、所得税や法人税の税収減少額が消費税の増税額を上回ることも、十分考えられます。というより、橋本龍太郎政権における消費税の税率引上げは、全体の税収減を招きました。

 今の我が国でデフレ不況を抜け出していませんし、円高基調です。被災者の負担を増やす消費税よりも、復興国債の日銀引き受けの方が現実的です。

 この期に及んで消費税の税率引上げを言う人は、認識が甘過ぎると思います。

橋龍さんの消費税アップと景気の関係については、権丈先生の勿凝学問174「1997年不況の原因は、本当に消費税率引き上げなのか?当時の公共事業費削減やアジア経済危機も思い出してあげないと、消費税が可哀想だ」
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare174.pdf

が私にとっては一番納得がいくのですが。

ところで、今回の震災と阪神大震災の最も違う点は、規模等はともかく、都心(関東圏)の機能マヒの有無です。阪神大震災はあれだけの被害であっても(東京から見て)一地方の災害という位置づけから逃れられなかったということです。

私は今回の震災復興財源の捻出のために国民全体の負担増は当然だという認識です。東北という一地方の災害ではあるけれども。

 皆さん、今晩は。

 NSR初心者さん、1997年上半期が好調だったように見えるのは、1996年の好景気を受けて給与所得が増えていたことによるのではないかと、私は思っています。そして、1997年のアジア金融危機による外需の落ち込みを内需で下支えすることに失敗した原因の一つが、消費税の税率引上げといえるでしょう。

 まして、東日本大震災の被災地の惨状を考えると、消費税の税率引上げは被災者の憎悪を買うだけです。内需は破壊され、消費税の増税額を上回る税収減少を招くだけです。

 このウェブログは消費税増税の是非を論じるところではありません。しかし、日本銀行による国債の直接引受という手段が無視されているのを黙って見ていられなくて書き込みました。

>しかし、大地震から1週間以上経ち、破壊され尽くした地域を再建するためには、幸いにも破壊されなかった地域の人々がきちんと負担すべきものは負担しなければならないという理路が、少しずつ浸透して来つつあるようにも思われます。

私もそうあってほしいと願います。しかし、税、財政政策に関して多くの国民がまっとうな論理的思考ができるのであれば、日本の財政はこのような惨状にはならなかったしデマゴーグが台頭することもなかったのではないかと、つい考えてしまいます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110322-00000077-yom-soci

>東日本巨大地震の被災者のため、全国から日本赤十字社(東京)に寄せられている義援金が、14~20日の1週間で223億1531万円に上っていることがわかった。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110316-OYT1T00908.htm

>阪神大震災では、3回で計3兆円の補正予算を組んだ。今回は、これをはるかに上回る財政出動が必要になるだろう。

極限状況の中で暴動が起きることもなく、世界が驚愕するほどの秩序を保ち、義援金が全国から来るほどの善意にあふれている。その一方で、義援金の金額では被災地の復興に到底足りないことを理解できず、増税に拒否反応を示す。権丈教授のいう「計数感覚に欠ける善良な市民」がいまだ社会における多数派を占めているのでしょう。
また、個人的にリフレーションに疑問を持たざるを得なくなったのは、以前先生が紹介していたdongfang99さんのブログにもありましたが、ネット上に出没する「りふれは」の連中のためです。一知半解で専門家を無能とののしり、自己責任など眼中になく専門家にひたすら責めることで社会に建設的な活動をしたつもりになっている。しまいには三橋某や竹中某のいうことを鵜呑みにして、国債発行をして公共事業をしろ、社会保障は高齢者のためのものだから切り捨てろなどとのたまう。warm head and cool heartとでもいえばいいのか、人間として最も醜い姿であり、ああはなるまいと常々自戒しています。

復興財源については、既に先週17日の段階で、日本経済研究センターが「緊急提言」の中で、あらゆる化石燃料に復興税を課し、少なくとも5兆円を確保する、と述べています。

http://www.jcer.or.jp/policy/pdf/pe(iwata20110316).pdf">http://www.jcer.or.jp/policy/pdf/pe(iwata20110316).pdf

筋からいえば、現在の事態に対する財源としては消費税よりはエネルギー課税の方がいいことは間違いないでしょう。

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