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2011年3月10日 (木)

樋口明彦,上村泰裕,平塚眞樹『若者問題と教育・雇用・社会保障』

9784588602542 樋口明彦,上村泰裕,平塚眞樹『若者問題と教育・雇用・社会保障』(法政大学出版局)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-60254-2.html

この本は、東アジア諸国との比較、地方や周縁という切り口から、若者問題に切り込んでいて、とても興味深い分析が多くされています。

>ひきこもり、フリーター、ニート、ネットカフェ難民、ワーキングプアなどの若者問題、その基底的要因である若年者雇用の不安定化は、日本の将来を左右しかねない喫緊の課題である。本書は、日本・韓国・台湾という東アジア国際比較の視点、そして地方や周縁に位置する若者を対象とした事例研究の視点から若者問題を再検討し、それに取り組む具体的な道筋を示しつつ「公共圏」の可能性を模索する

目次は次の通りですが、

序章 東アジアと周縁から考える若者問題…………樋口 明彦

  第1部 東アジア比較から見た若者問題

第1章 高学歴化と若者の就業
  日本・韓国・台湾における教育と世代の意味……有田  伸
第2章 雇用構造と若者の就業
  日本・韓国・台湾の問題状況はどう違うか………上村 泰裕
第3章 若年者雇用政策の比較
  日本・韓国・台湾における雇用と社会保障………樋口 明彦
第4章 若者の貧困と社会保障
  日本・韓国・台湾の福祉国家体制への示唆………金 成 垣

  第2部 地方・周縁から見た若者問題

第5章 若者問題の地域格差
  都道府県別データによる分析………………………久世 律子
第6章 ‘下位大学’の若者たち
  学習の意味と社会的ネットワーク…………………児島 功和
第7章 過剰包摂される地元志向の若者たち
  地方大学出身者の比較事例分析……………………轡田 竜蔵
第8章 若年介護労働者のキャリア形成
  地方都市の事例から…………………………………石田健太郎
第9章 若者ホームレスの危機
  労働・家族・地域との関わりにおいて……………渡辺  芳
第10章 日本の若者問題をめぐる‘公共圏と規範’
  …………………………………………………………平塚 眞樹

まず、第1章の有田さんの論文から、最近の若者の就職状況とも関わる大変おもしろい事実発見を。

韓国も台湾も、日本以上の急速なペースで大学進学者が増加していることはある程度知られていることですが、日本の場合、大卒者の増加にともなってホワイトカラー就職比率が徐々に減少してきたのに対し、それ以上に急増した韓国の大卒者のホワイトカラー職就業機会を確保し、その賃金も下落していないそうです。

なぜか。

有田さんは、すでに労働市場にいる中高年層に注目し、韓国では中高年層においてホワイトカラー職就業機会が著しく喪失したのに対し、日本では逆に、新規学卒者のホワイトカラー職就業機会が減少しているまさにその時期に、男性中高年層のホワイトカラー職就業機会が絶対的水準においても増加していたことを指摘します。

つまり、韓国では中高年層が追い出された分、若者の雇用機会がある程度確保されたのに対し、日本では、「中高年層の雇用機会が守られているために、若年層の就業がいっそう難しくなっている」というわけです。

なぜそうなるのか。

一つは雇用慣行の違いですが、もう一つ、学校教育による職務遂行能力の向上と実際の就業経験による職務遂行能力の向上のどちらを評価するかの違いという見方も興味深いところです。

上村、樋口、金さんらの論文も、それぞれの切り口から日本、韓国、台湾の若者の比較をしていますが、もう一つの柱の「周縁」も、地方と下位大学という切り口から興味深い分析をしています。

ここでは、本田由紀さんも紹介している

http://twitter.com/hahaguma/status/45838008531951616

>hamachanも紹介しているこの本の第6章「’下位大学’の若者たち-学習の意味と社会的ネットワーク」はB3のみんなに、第7章「過剰包摂される地元志向の若者たち-地方大学出身者の比較事例分析」はtk津さんとkt下君に読んでもらいたい。

の二つをあげておきます。居神浩さんが「マージナル大学」と呼ぶものを児島さんは「下位大学」と呼んでいますが、やはり、大学での学習の意味づけについて、上位大学は教養志向、専門学校が職業アイデンティティであるのに対して、そのいずれでもないまさに「マージナル」であるところが、その「マージナル」さの所以なのでしょう。

メンバーシップ型にもジョブ型にもなりきれない「マージナル」。

また、轡田さんの地元志向の若者たちは、わたしはまさに「草食系」の生き方として肯定したいところでもあります。

12382 先週の『週刊朝日』で、「元気な若者は海外へどうぞ 日本の職場は「草食系」の楽園に」と喋ったのとつながるかも知れません。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/2030-3855.html

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