フォト
2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

« 大学の課題 堀有喜衣さんの提言 | トップページ | とおんでもなく誤解されてるらしい »

2011年3月25日 (金)

三柴丈典『裁判所は産業ストレスをどう考えたか』

1168 三柴丈典先生から、近著『裁判所は産業ストレスをどう考えたか~司法による過重負荷認定~』(労働調査会)を送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.chosakai.co.jp/purchase/books/syousai/1168.html

三柴先生といえば、労働法学界ではかなり少数派の労働安全衛生を中心に研究しておられる方ですが、本書はいわゆる過労死、過労自殺、いじめ自殺に係る労災認定争訟事案と労災民訴事案の最近の裁判例50件について、事案の概要、司法による加重負担認定、そして判決の整理分析と若干の展望をまとめた著作です。

>過労死・脳心臓疾患・過労自殺・精神障害・いじめ自殺といった職場のストレスによる災害は裁判所にどのように認定されたのか。本書は、2007年以後に下された労災補償・賠償事件にかかる裁判例約50件について、特に過重負荷認定のあり方に焦点を当てて整理分析した。裁判例の相場を知るだけでなく、調査研究資料としても活用できる

内容は以下の通りです。

第1章 事案の概要
  1 過労死事案
  2 死亡に至らない脳心臓疾患等へのり患事案
  3 過労自殺事案
  4 死亡に至らない精神障害等へのり患事案
  5 いじめ自殺事案
第2章 司法による過重負荷認定一覧
  1 過労死事案
  2 死亡に至らない脳心臓疾患等へのり患事案
  3 過労自殺事案
  4 死亡に至らない精神障害等へのり患事案
  5 いじめ自殺事案
第3章 判決の整理分析と若干の展望
 第1節 判決の整理分析
  1 労災認定争訟事案
  2 労災民訴事案
 第2節 若干の展望
  1 労災認定争訟事案
  2 労災民訴事案
判例索引

この最後の若干の展望の労災民訴事案で、産業精神保健法理として3つの項目が挙げられており、従業員間の公正取扱い義務、特に新たな配置・職務割り当て、配置転換、昇進・昇格等に伴い役割や責任、職場環境等に変化が生じた場合における上司や同僚による支援ないし支援体制整備の義務と並んで、「休息時間の確保義務」が書かれています。

>近時の新たな労働時間法制度の在り方をめぐる議論の中で、主にヨーロッパの法制度を参考に労働法学者などからなされてきた提言の一つに休息時間制度の法定がある。・・・本書で取り扱った判例の中にも、長時間労働の過重性を睡眠時間の確保という観点から論じたものがある。

例えば・・・

そして、これらを災害が生じた場合の過失の判断基準としてだけではなく、職業性疾病障害の予防のための救済法理として展開させるために、鎌田耕一先生が唱える安全配慮義務の履行請求の理論を検討しています。

« 大学の課題 堀有喜衣さんの提言 | トップページ | とおんでもなく誤解されてるらしい »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 三柴丈典『裁判所は産業ストレスをどう考えたか』:

« 大学の課題 堀有喜衣さんの提言 | トップページ | とおんでもなく誤解されてるらしい »