大山礼子『日本の国会』
岩波新書編集部の方より、大山礼子さんの『日本の国会-審議する立法府へ』をお送りいただきました。
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1101/sin_k568.html
>2009年8月末の総選挙で政権交代が実現し、民主党政権が成立しました。しかし、その後、政権は迷走、国会審議の空洞化が進んでいます。
>・・・そして、「ねじれ国会」が常態化した今、二院制の意義を再考し、これから国会をどう変えていくべきか、実行可能な具体的な改革案を提示します。現在の混迷した政治状況を打破するために、非常に重要な提言が示されています。
本書で興味深いのは、戦後日本の国会のモデルとして、かつてはアメリカ型モデルがもてはやされ、近年はイギリス型のウェストミンスターモデルが理想とされてきたけれども、それはかえってさまざまな問題を生み出してきたこと。それらの二大政党制を理想像とするモデルよりもむしろ大陸ヨーロッパの国会システムの方が、日本の制度に合っているという指摘です。
大山さんの議論はあくまでも国会の審議をめぐるものですが、政治行動自体のスタイルそのものについても、似たようなことが言えそうな気がします。
実質的な政策にあまり違いのない中で形式的な二大政党制を目指してきたことが、相手が構造改革といえばより一層構造改革と叫び、相手が格差是正といえばより一層格差是正と叫び、とにかく官僚を悪者にすることで「違い」を際だたせようという不毛な「政策なき政策競争」をもたらしてきたと、私には見えているものですから。
個人的には、本書では取り上げられていない政策形成へのステークホルダーの入力と国会審議との関係に関心があります。これはとりわけ大陸ヨーロッパ諸国では重要な論点であるように思われるのですが。
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