絵で見る生活給思想
昨日紹介した『世界』3月号ですが、木下武男さんの「反貧困の賃金論」に面白い絵が載っています。
この論文自体は、木下さんが繰り返し論じていることが書かれていますが、
>日本人の賃金があがらない。賃金が増えないどころか、小泉「構造改革」以降、日本の労働者の賃金は減り続けている。それは、ひろがる貧困と格差のもっとも大きな原因の一つとなっている。なぜ、日本人の賃金が上がらないのか。日本の賃金体系をどう組み替えていけばいいのか。新しい賃金のありかたと働き方とを構想する。
実は、大変面白いのは、そこに引用されている、今からちょうど30年前の労働組合の春闘用のポンチ絵です。全国商社労働組合連合会の「81春闘のために」というパンフレットに載っているものということですが、男女雇用機会均等法ができる直前の時期、ちょうど一世代前の世の中の常識がどういうものであったのか、大変わかりやすく教えてくれます。
母親と同居する独身女30歳(当時は「負け犬」という言葉もなかったのでしょうが)は、月額42.2万円。女房と二人の子どもを養う男一匹32歳はマンションを買ったこともあり、月額65.6万円。
もちろん、この額自体は労働組合の要求ですから、絶対額がどうこうよりも、ほぼ同じ年齢の男女で2対3の差があるのは、生活給思想からすればまことに当然であって、何もおかしいことはない、というのが30年前の常識であったということが重要です。
組合員には入れないのでここには書かれていませんが、旦那に扶養されている45歳の主婦パートがここに並べば、当然月額8万程度となるわけで、これまた常識であったわけです。
« 昨日の「働き方改革WT」の模様 | トップページ | 力士会は労組として八百長の必要性主張を@水谷研次さん »
コメント