峰崎直樹さんのメルマガから
現在内閣官房参与をされている峰崎直樹さんのメルマガ「官邸お庭番日誌」に、大変わが意を得たりというべき表現を見つけました。
峰崎さんは、鉄鋼労連、自治労を経て社会党、民主党の議員をされ、財務副大臣退任後は内閣官房参与として「官邸お庭番」をされています。
昨年11月の北大シンポ(権丈、宮本、山口の各先生)の際にご挨拶をさせていただきました。
その「お庭番」のメルマガに、与謝野大臣の下で進められ始めた社会保障改革集中検討会議について書かれている中に、こういう表現がありました。
>この事は自民・公明連立政権時代の福田・麻生政権の時代に策定された二つの審議会の結果を継承し、年金・医療・介護といった高齢者に偏っていた社会保障を、新たに全世代型に変えていくことを付加していくことになる。
その意味では、大きな社会保障政策の転換がなされようとしているといってよい。
この点について、ともすれば福田政権と麻生政権の下で、小泉・竹中路線が取ってきた市場原理主義による小さい政府路線や上げ潮路線から転換したことを見失いがちであるのだが、明らかに大きな路線転換がなされ、「中福祉・中負担」の日本を目指そうとしていたのだ。
ある意味では民主党の方が、むしろ「4年間は消費税を上げない」という鳩山前総理の発言にみられるように、小泉・竹中路線の継承者のようになっていたことを見失ってはならないだろう。
まことに、この数年間の(政局ではなく)政策の側面における実相をみごとに抉り出す描写であると思います。
わたくしが先日のエントリで述べたのも、まさにまったく同じ認識でありました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-caec.html(与謝野馨『民主党が日本経済を破壊する』文春新書)
>大変皮肉なことですが、同じ自民党政権の中で、ネオリベラルな構造改革路線から福祉国家をめざす路線への転換があり、それが政権交代で再び「事業仕分け」に熱狂するある意味でネオリベラル感覚全開の時代に逆戻りし、そして今ようやく再び、かつて与謝野さんが目指そうとした福祉国家再建の政策に再転換しようとしている、と、評することも出来るのかも知れません。
現在の日本は、まさにこの政策断絶線において、どっちの側に立つのかを認識した上で主張しているそれぞれの人々(小泉・竹中・鳩山の側であれ、福田・麻生・菅の側であれ)と、そういう政策断絶線がまったく見えず、専ら政局レベルの敵味方感覚だけでものを喋る人々が、まったく通じ合わない言葉を語っているというべきなのかも知れません。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110206-OYT1T00622.htm
>国民新党の亀井代表は6日、広島県尾道市で開かれた会合で、政府の社会保障改革に関する集中検討会議について、「柳沢(伯夫・元厚生労働相)さんをはじめ自民党時代の人を使っている。自公政権の政策と決別したという原点を押さえないで、改革なんてあり得ない」と批判した。
だから、どっちの政策方向を向いた改革なのかが問題・・・なんじゃないんですね、多分。というか、大事な郵政以外は、社会保障改革の方向性なんて枝葉末節のことはどうでもいいのかも知れません。
« 『週刊金曜日』悪法特集 | トップページ | 「超氷河期」の雇用と就活@『世界』3月号 »
コメント