2つの「認定職業訓練」
さて、一昨日答申された求職者支援法案ですが、法案要綱を読んでいくと「認定職業訓練」という言葉が出てきます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000011lac-img/2r98520000011lf0.pdf
これは、特定求職者のために厚生労働大臣が職業訓練実施計画を策定し、これに適合する職業訓練を認定し(これが「認定職業訓練」)、かつ助成するという仕組みをまず設けています。その上で、公共職業安定所長が特定求職者のために就職支援計画を作成し、この計画に基づいて認定職業訓練・公共職業訓練などの就職支援措置を受けることを指示することとし、これを容易にするために特定求職者に対して職業訓練受講給付金を支給する、という枠組みとなっています。
さて「認定職業訓練」です。求職者支援法上の「認定職業訓練」はこういう(公共職業訓練よりも下のレベルの基礎的訓練も含めた)民間教育訓練機関の行う訓練のことなんですが、日本国法体系上にはそれとは別の「認定職業訓練」がちゃんと存在します。
1969年の職業訓練法で、それまで技能者養成→事業内職業訓練と呼ばれてきた企業が自社内ないし共同でやる訓練のことを「認定職業訓練」と呼ぶようになったのですね。
そこには、企業内の訓練といえども、公共職業訓練と同じ基準できっちりやらなくてはいけないという外部労働市場中心の思想が色濃くありました。
それが70年代に内部労働市場中心になると、OJTを中心とした企業内能力開発への支援が政策の中心となり、「認定職業訓練」は職業能力開発促進法の中でもずるずると後ろの方に押し下げられていったのです。
で、時代は巡りめぐって、2011年、企業内訓練は縮小し、公的訓練も叩かれ通しという中で、失業者へのセーフティネットの一環として再びこの「認定職業訓練」という言葉が法律上に登場することになるというのも、いろいろな意味で感慨無量です。
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