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2011年2月 8日 (火)

「超氷河期」の雇用と就活@『世界』3月号

814 岩波の雑誌『世界』3月号が「世界経済 長期大停滞の10年へ」という特集の中で、雇用労働問題に関わる論文を幾つも並べています。

http://www.iwanami.co.jp/sekai/2011/03/directory.html

まずは、「「超氷河期」の雇用と就活」という通しタイトルの下で、対談と論文二つ。

【「超氷河期」の雇用と就活】

企業と個人の新たな関係
  稲泉 連 (ノンフィクション作家)、樋口弘和 (トライアンフ代表)

揺らぐ「学校」と「仕事」の架け橋
  駒村康平 (慶應義塾大学)

「学ぶこと」と「働くこと」の有機的な連携──スウェーデンの教育改革にみる
  訓覇法子 (日本福祉大学)

いずれにも、日本型雇用システムにおけるメンバーシップ性がバックグラウンドミュージックのように流れています。

たとえば対談で樋口さんは、こう述べています。

>たとえば僕が留学した米国では、就職とは仕事をマッチさせることだと考えられています。社会に出ることは「就社」ではなく文字通り「就職」なので、まず仕事の選択があって、次の企業が出てくる。・・・

>しかし、日本の職業観では、就職が、学校という社会から、会社という社会への移行であるとの考え方が根深い。だから、仕事というレールに行くのは、今のところあまり現実的に考えられないと思います。であるとすると、二つの社会の接点をもう一回見直していかないと、問題の解決はできないのではないか。

まさに、「二つの社会の接点をもう一回見直」そうとしたのが、わたくしも参加していた日本学術会議の大学と職業との接続検討分科会であったわけですが、やはりその参加者の一人であった駒村康平さんが、「揺らぐ「学校」と「仕事」の架け橋」を書かれています。

>新卒一括採用、就職・採用活動の早期化と長期化、企業の曖昧な採用基準──就職活動のこうした弊害を指摘する声があいつぎ、さまざまな見直しが検討され始めている。
 しかし現在の就職、つまり教育から職業への連結に見られる揺らぎは、昨日今日始まった事態ではない。内定率の悪化は、日本の社会・経済システムが引き起こした「症状」の一つであり、対症療法では根本的な解決にはつながらない。本論考は、社会経済システムを構成するサブシステムをそれぞれ丹念に検証する。バブル崩壊、グローバリゼーションの本格化に先立つ1990年代以前の社会経済システムとは、いかなるものか。その「旧システム」はそこからどのような変貌を遂げた (あるいは遂げなかった) のか。
 いまだ根強い「旧システム」の複雑な相互補完関係を丁寧にほぐしていく。こうした粘り強い制度改革こそ、新しい社会経済システムの実現のために求められている。

短い中に論点が極めてコンパクトにまとまった論文ですが、とりわけ、最後のところで、近年都に流行るインチキ商品をざくっと斬っているところは是非お目通しを。

>・・・しかし、この道もまた険しい。

まず、新しい社会経済システムの構想をわかりやすく示す必要がある。それが見えないと直面している変化の「痛み」から、旧システムにしがみつきたいという人々の抵抗も強まるだろう。新しい社会経済システムの構想が見えないまま雇用システムの変化が始まったため、正社員や中高年労働者の既得権を奪えば解決するような表層的な議論、既得権をめぐる局地戦が行われるようになった。

>魔法の杖のような幻想を振りまいているのがベーシックインカムであろう。不安と混乱が広がる中で、困難な社会経済システムの再構築という作業を行わなくとも一気に問題が解決するかのように信じ込まれているが、一歩間違えると低額のベーシックインカムと引き替えに、あらゆる雇用保護の撤廃と既存の所得保障制度の廃止につながる危険性もある。

本日、都内某所でお話ししたこととものつながる問題です。

訓覇(「くるべ」さんと読むようです)法子さんの「「学ぶこと」と「働くこと」の有機的な連携──スウェーデンの教育改革にみる── 」は、一知半解にスウェーデンを論じる人が見落としがちな同国の職業教育システムを紹介する時宜に適した論文です。

>若者の貧困や失業問題に対処すべく、スウェーデンでは学校教育において職業教育を重視する教育改革を行ってきた。そこには、誰もが働き、社会での存在価値を見出し、民主主義に参加するというスウェーデンの理念が体現されている。学校を卒業しても就職できない若者が増大している日本にとって、スウェーデンの教育改革の軌跡は有益なヒントとなるだろう。

職業教育を蔑視しながら偉そうに雇用問題を説く人というのは、大体信用できません。

その他の論文も興味深いものがありますが、とりあえずここまで。

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