日弁連デンマーク調査報告書
一昨日シンポジウムに参加した日弁連ですが、昨年「フレクシキュリティ」で有名なデンマークに調査に行った報告書がHPにアップされていました。
http://jfba-www1.nichibenren.jp/ja/committee/list/data/danmark_report.pdf
第1 はじめに ....................................................................... 1
第2 労使関係 ....................................................................... 2
1 労使の社会的な役割 ............................................................ 2
2 労使のナショナルセンターの形成 .............................................. 2
3 LOの現状と活動 .............................................................. 3
4 労働者側の他のナショナルセンター ........................................... 4
5 経営者側のナショナルセンター ................................................ 5
6 基本協約と労使合意に基づいて設立された制度 ................................ 5
7 労働協約の内容と適用率 ....................................................... 9
8 デンマーク労使関係の特徴 ..................................................... 10
第3 解雇 ............................................................................ 11
1 解雇はけっして自由ではない .................................................. 11
2 整理解雇の「合理性」判断は緩やかだが背景に違い ........................... 12
3 非正規雇用の増加 .............................................................. 13
4 手厚い失業給付 ................................................................ 13
第4 職業教育・職業訓練 ............................................................ 15
1 概要 ............................................................................ 15
2 職業教育を重視した教育制度 .................................................. 15
3 離職者向け就労支援 ............................................................ 17
フレクシキュリティといえば、一部インチキ経済学者による首斬り自由自在の経営者天国という粗雑な議論が横行する一方、それを真に受けたモリタク氏が「財界の罠」だと叫んでみたり、なかなかまっとうな認識が浸透しませんが、こういう現地の労使を始めとする関係者のナマの声をきちんと発信することが、インチキな議論の横行を防ぐ最良の手段なのでしょうね。
「解雇はけっして自由ではない 」けれども、経済的理由による「整理解雇の「合理性」判断は緩やか」。それを支える「手厚い失業給付」と、なによりも重要な「職業教育を重視した教育制度」と「離職者向け就労支援」。
そして、それらをマクロ社会的に支える根本的なインフラとして、法律すらもほとんどなく大部分を労働協約で決めてしまうほどの「労使の社会的な役割」があるわけです。
こういうきちんとした認識を踏まえて、例えばこれら社会的機構を整備することを前提に、整理解雇4要件の緩和を主張するのであればまことにまっとうなのですが、それと「社長の云うことを聞かないような奴はクビだクビだ!」という解雇自由化との区別がつかないような人がまだまだ多いのが悲しいところでしょう。
ちなみに、わたくしも雑誌『エコノミスト』の次号に、「「フレクシキュリティ」の真実 日本にはハードルが高すぎる北欧型雇用モデル」というのを書いております。来週初めの発売です。
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