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2011年2月 9日 (水)

職業訓練再構築と労働組合の役割@連合総研『DIO』

Dio 連合総研の機関誌『DIO』が、「職業訓練再構築と労働組合の役割」を特集しています。

http://rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio257.pdf

職業訓練再構築の方向性—欧州の経験と労働組合への示唆  鈴木宏昌

学校教育と職業教育訓練の連携   児美川孝一郎

電機産業職業アカデミーの取り組みと今後の課題について  岡本昌

まず最初の鈴木先生のは、

>遠い昔、まだ私がジュネーブのILO本部で労使関係の国際比較の勉強をしていたときから日本の労使関係で不思議に思い、未だに分からないものが二つある。実質的な内容がほとんどない労働協約と職業訓練に関する組合関与の欠如である。・・・

という皮肉な言葉から始まり、最後のところで、3つの提言をされています。そのうちとりわけ重要なのが、

>1 )職業訓練・教育は個人の権利であることを明確化する。企業は経営上の必要があれば、その範囲で訓練を行う。したがって、そのような企業あるいは選抜された従業員は訓練政策の対象ではない。零細企業の労働者、パートタイム労働者、期間工、派遣労働者、失業者、あるいは子育てが終わった女性たちに職業訓練を受ける機会を提供し、技能のレベルアップにつなげることが訓練制度構築の目標となる。

昨日もある方に申し上げたことですが、高度成長期までの日本の労働政策は、少なくとも大企業から集めた失業保険料を、中小零細企業の労働者のための施策に使うという意味で、まっとうな資源の再分配をしていたと言えるのに対して、石油ショック以後の企業主義的労働政策は、中小零細企業から集めた雇用保険料を主として大企業正社員のために使うという意味で、逆分配型になってしまい、しかも最近は公的サービスを無駄だといって削ることでますますそれを加速させてきたといえるのでしょう。

企業が経営上の必要性に基づいてやっている正社員向けのOJTなどの企業内教育訓練に潤沢な助成金をつける一方で、そこからこぼれ落ちた人々向けの職業訓練回路はどんどん狭くなってきたのではないかというマクロ政策的反省が必要なのではないかと思っています。日本型システム擁護論者にしても、自由市場原理主義者にしても、その責めから免れる人はほとんどいないはずです。

次の児美川さんのは、日本における伝統的な「学校から仕事への移行」プロセスが構造的変容をとげ、職業的レリバンスという課題が学校教育に突きつけられているという状況の中で、とはいえ現行の日本型学校教育システムの中では、高校にせよ、大学にせよ、職業教育を充実するなんてとてもとても・・・という状態にあるという実情を見据えた上で、なおかつ現実的に可能性のあり得る処方箋を書いてみたというべき苦渋の一文です。

>もっとも即効性があり、またインパクトがあるのは、(職業教育の機能を備えていない)学校と(学校システム内外の)職業教育訓練との連携の可能性を追求するということなのではないか。。「学校で職業教育を」と主張してみても、そのための施設・設備・人的資源、そして教育上のノウハウの蓄積のないところで、職業教育をゼロから立ち上げようとしても、膨大な投資が必要となる。・・・

>とすれば、考えうる手としては、「連携」である。普通科高校であれば、近隣の専門高校や高等専修学校、公的職業訓練機関と連携して、在籍する生徒が職業教育を受けることのできる機会を創出する。また、地元の産業界と連携して、現状のインターンシップよりもはるかに本格的な(可能であれば、見習い生や訓練生として企業に受け入れられる)就業型の学習の機会を創りだすことが構想されてよいのではないか。大学も同様である。専門教育の内容の職業的レリバンスを強める努力を行うと同時に、専門学校や中等後教育の段階の公的職業訓練機関、そして産業界との連携の強化が模索されるべきであろう。

拙著の言い方をすれば、現状の学校教育システムに職業教育を大量に導入しようとすると、「特に文科系学部において、大学教師の労働市場に大きな影響を与えることになります」。それに対する反発が「教養」という正義の御旗のもとに結集すれば、多分何事も動かなくなることは明白ですね。

最後の岡本さんのは、まさに「職業訓練に関する組合関与の欠如」で特徴づけられる日本の労働組合の中で、例外的にその分野に手を伸ばした電機連合の意欲的な試みが、さりながら日本型システムの現実の中で、どのように当初の意図とは違うものになっていったか、という話としても読めます。

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http://www.news-postseven.com/archives/20110208_11435.html

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