「優しい」書評?
ひさしぶりに、ブログ上での拙著書評。「優しい書評」さんというブログなのですが、さて。
http://blog.livedoor.jp/bookfun_biz/archives/2311651.html
>これは、ちょっと時代遅れの方向性を持った視点で書かれている本かもしれない。これは人によって感じ方は違うかもしれない。
いや、まあ、何を時代遅れと感じ、何を時代の先を行っていると感じるかは、人によってさまざまですので、それはいいのですが、
>私は、若者のチャンス(機会)を増やす考えなので、この著者とは正反対の考えなのかもしれない。
といわれてしまうと、あたかも、わたくしは「若者のチャンス(機会)を増やす」のに反対しているかの如くですね。
拙著のどこでそんな馬鹿なことを公言しているのかとパラパラめくってみましたが、残念ながら見つけることはできませんでした。もしかしたら、わたくしについてあることないことを騙っているどこぞの記述に影響されているのかもしれません。
ましてや、
>著者は、労働省出身のためか、年功序列から成果主義への変化を嫌う節が多々出てくる。
これはもう、明らかに誰かさんの騙っていることをそのまま鵜呑みにした記述ですねえ。
いうまでもなく、わたくしは現実に90年代以来導入されてきた「成果主義」と称する代物については、批判的ですが、「年功序列断固護持!」などと叫んだ記憶は一度もないのですがね。むしろ、年功賃金の反対は職務給であり、成果主義の反対は固定給であり、異なる軸を対立させるのは人事管理論的におかしいという指摘はしてきていますけど。
これに対して、最後の
>それだけでなく、ヨーロッパ諸国などの例を出しているが、政治状態、起業スタイルなど関係なく比較するのは違和感を覚える。
は、むしろ日本型雇用システム擁護派の皆さんからよく指摘される点であり、わたくしももっともな指摘だと感じているところでもあります。拙著は、ある意味でその「違和感」をなだめるためにいろいろと中間的な仕組みを提起しているものでもあるのです。「期間比例原則」とかね。
ただ、どうもこの「優しい」書評家氏は、「日本はヨーロッパ諸国とは違うんだから、ヨーロッパの真似をするんじゃなくて、日本型で断固いけ!」という趣旨でこういっているんじゃないようですね。別の国を真似しろという趣旨であるならば、拙著以上に違和感を感じる人が一杯いそうですが、そういうのには多分違和感を感じられない方なのかも知れません。
なんにせよ、
>読み終わった後に、時間の無駄を感じてしまった。
と仰るのですが、多分、読む前に結論は出ていたのでしょう。
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