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2011年1月20日 (木)

中小企業労働者と中小企業者

中小企業労働問題を考える上で、忘れられがちですが重要なポイントとして、中小企業労働者が中小企業者になる可能性という問題があります。

これを指摘したのは、今から50年前の1960年に中央公論社から出た『経済主体性講座』第4巻所収の氏原正治郎さんの「労務者」という論文です。

ここで氏原さんは、中小企業労働者の組合組織率が低いままであることについて、一つの説明として、

>もしこれらの労働者が、生涯を賃金、俸給で生活しなければならないとしたら、仮に上述の如き条件があったとしても、労働者たちは、この条件を打ち破るために、団結するに違いない。・・・

>だが、そうではなくて、労働者たちは、年少にして、工場や商店に雇われ、一定の期間、雇用労働に従事するが、長じて壮年に達し、万般の技能を修得し終わると、自分もまた独立して、職人の棟梁や町工場の主人、商店の店主になることのできる可能性が大きいところでは、事情は大いに異なる。・・・

>労働者にとって、この種の独立の可能性が、例外的ではなく、広範囲に存在する場合には、労働者は、争議団のような一時的なものはともかくとして、継続的な労働組合を組織する必然性は存在しない。なぜなら、これらの労働者の雇用労働は、彼らの生涯の中では、一時的であって、それによって生涯の生計を立てるというものではない。・・・

等と書かれています。

戦前にはこうした中小零細企業の再生産が顕著に見られたが、戦後衰えてきたというのが氏原さんのこの時の観察ですが、その10年以上後に小池和男さんが『中小企業と熟練』の中で、なおこのメカニズムが頑健であると説明していました。

しかし、その後中小企業の「出生率」は顕著に落ち込み、この再生産メカニズムがうまく回っているとはとてもいいがたいように思われます。

この問題をどう考えるかというのも、中小企業労働問題の一つの大きな課題です。

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