要するに、社会保障をケインズが語るかフリードマンが語るかなんだよ@権丈節
権丈節健在。
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare354.pdf
皮肉なのは、日本の揚げ塩風味「りふれは」というのは本家アメリカのリフレーション論者とは逆に公共サービスと社会保障を敵視するフリードマンの党派に成りはてているということでしょう。
>・・・まぁ宰相が「強い社会保障」なんてことを言ったとき、昔ながらの経済学者達が、一斉に経済学の教科書通りに、成長と社会保障が緊張関係にあることを、いたる媒体を使って批判していたシーンをみるのはなかなか楽しいものがあったわけだ。
>・・・2009年に、ケインジアン系の社会保障論が表に出てきたとき、条件反射的にフリードマン系の経済学で、懸命に批判している人たちをみて微笑ましいものがあった。
昔だったら、これを「ねじれ」と呼んだところですが、もはやねじれですらないというべきでしょうね。まあ、敵が明確になるというのは悪いことではありません。
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経済効率を重視する米国および社会保障大国フランスでは、共に再分配後の家計可処分所得は共にGDPの80%以上もあるのです。
OECDの統計より、家計、企業、政府間での国民所得の分配(グロス)を日、米、仏で比較します。
日本(2007年、調整可処分所得GDP比):
家計/企業/政府:73.0 / 20.2 / 8.1
米国(2007年、調整可処分所得GDP比):
家計/企業/政府:81.5 / 9.0 / 9.3
フランス(2007年、調整可処分所得GDP比):
家計/企業/政府:81.9 / 8.7 / 9.1
興味深いことに、米国およびフランスにおける再分配の比率はほぼ同じであり、日本の場合、家計への分配が少なく、企業への分配が突出しているのです。
同じく、OECDの統計より、家計、企業、政府における貯蓄(ネット)を日、米、仏で比較します。
日本(2007年、貯蓄GDP比):
家計/企業/政府:6.5 / 7.9 / -2.9
米国(2007年、貯蓄GDP比):
家計/企業/政府:1.5 / 1.9 / -1.7
フランス(2007年、貯蓄GDP比):
家計/企業/政府:7.6 / 0.4 / -1.4
日本の成長戦略を論ずるにあたって、何故家計にお金が回らないのかを考える必要があります。社会保障による所得の再分配もそうですが、日本経済の非効率を問題にする必要があります。日本経済における、企業貯蓄(お金の滞留)、固定資本減耗、資本効率、海外投資(家計への還流)、交易条件の悪さ、・・・が問題になります。企業に投じたお金が、あるいは労働投入が富を生み出していないということが問題です。フリードマン対ケインズ以前の問題がありそうです。
投稿: hiro | 2011年2月 1日 (火) 01時50分
前回コメント(by hiro)において、日本の家計の貯蓄のデータ間違えました。下記に訂正します。
日本(2007年、貯蓄GDP比):
家計/企業/政府:1.5 / 7.9 / -2.9
投稿: hiro | 2011年2月 1日 (火) 02時00分