わが国の雇用で、何が問題なのか?@『ELDER』
雑誌『ELDER』の2月号が「わが国の雇用で、何が問題なのか?」という特集を組んでいます。
冒頭はリクルートワークスの大久保幸夫さんの「」雇用不安など、雇用の現場で、今何が起きているのか?」ですが、その中で
>雇用不安は、学校教育の問題として捉え直す必要がある
>大学教育の現状を踏まえてみると、大半の大学は職業教育の場となってもよいのではないかと考えています。・・・そして、大学教育の内容と職業教育に転換することができたら、大学を生涯学習の場としても活用すればよいと思います。
と語っています。
おそらく、こういうむき出しのヴォケーショナリズムに対しては、広田照幸先生から異論が出るところだと思いますが、ここは議論の一つの軸であることは間違いありません。
これに対してわたくしは「正規・非正規の均等待遇と生活保障」というタイトルで、やや俯瞰的な議論を展開しています。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/elder1102.html
中身はいろんなところで喋ったり書いたりしていることのまとめのようなものですが、とりわけ最後のこの台詞は、いろんな方に聞かせてみたいところです。
>2009年総選挙で民主党は子ども手当をマニフェストに掲げ、新政権の下で2010年からその支給が開始された。その意義は何よりも、子どもの生計費を生活給ではない形で給付する社会保障制度を確立することにあったはずである。しかし、バラマキとの批判の中で、政権担当者自身にその意義が理解されていなかったことが露呈した。社会手当の典型ともいうべき児童手当=子ども手当に対する風当たりの強さの中に、日本型雇用システムの中で生きてきた正社員とその家族たちの意識が明確に現れているといえよう。
その他、梶原豊さんの「地域産業の活性化と人材の確保・育成」、小林辰滋さんの「ものづくり産業における職業能力開発の現状と課題」が特集記事です。
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コメント
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いつも濱口さんの質感のある文章を読み疑問に思ってきたことですが、労働制度議論において労働者を区別するにあたり、何がきっかけで「formal & informal」が「正規と非正規」とされてしまったのでしょうか。この場合のformに合致する訳語としては「定型と非定型(就業)」の方が冷静な議論を期待できると思います。
日本語の「正規」にはgenuineの意味合いがあり、対立概念としてimitationと位置付けられた労働者が感情的になるのも無理からぬことです。他方、”労働者もどき”に対する日本政府の不作為や社会の狭量は批判されるべきですが、「imitationだから積極的に保護する必要はない」との判断が底流にあるとすれば、それを一概に責めたところで施策も環境整備も前進しないのではないでしょうか。
安易な直訳が結果的に重大な社会対立を招いてしまった一例ではないかと感じるところです。直す手立てはないのでしょうか。
投稿: 湘南平 | 2011年1月28日 (金) 14時58分
下記リンク参照。
痛いニュース: 面接官に「またか」と思われるNGな志望動機 「社風が自分にぴったり」「御社で勉強したい」他
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1590626.html">http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1590626.html
求職者の本音と、企業や大学の問題点を浮き彫りにした良エントリだと思います。特に文系の就職面接では、この手の本音と建前を使い分けるのが前提のゲームになっちゃてるんでしょうね。
ぶら下げるのがこのエントリでよかったのかどうはか置いといて。
投稿: くまさん | 2011年1月29日 (土) 11時07分