『経営法曹』166号から「欧州視察報告」
下で、日弁連のデンマーク報告の話を書いたところ、本日、経営法曹会議から機関誌『経営法曹』が届き、その中に和田一郎さんの「経営法曹会議欧州視察団視察報告 デンマーク・オランダ・フランス・EUの非典型労働事情等」が載っていました。なんというグッドタイミング!
今号の和田さんの記事は、あくまでも「速報版」ということで、正式な報告書は現在作成中で、平成23年の春頃に完成する予定ということです。
経営法曹会議という、労使関係を経営側の立場からサポートする弁護士の皆さんが、フレクシキュリティをはじめとするヨーロッパの近年の労働事情をどのように捉えたのか、大変貴重な報告書になることと思います。
あくまでも「速報版」と言うことではありますが、和田弁護士の率直なコメントがいくつか載っていますので、いくつか引用しておきましょう。
>・・・しかし、(労使の)それぞれでお聞きした内容が対立していた、あるいは異なっていた、という印象が薄い。記録を見直しても、その印象は変わらない。その原因は、デンマークでは、労使団体間の100年を超える古くかつ深い信頼関係に基づいて、雇用・社会政策が実施されているので、いずれから話を聞いても、同じような答えが返ってきたためであろうと思われる。
>この関係で、LOの担当者の「我々としましては、最大の労働組合組織であるということで、国の経済に対しても、責任ある政策的な提言をすべきだと、そういう立場にあると自負しております」との発言が強く印象に残った。
労使協調どころか、まさに労使が中軸になって国家を運営しているデンマークであればこその発言といえましょう。
なにやら、一知半解の方が例によって第3法則全開のつぶやきをされておられるようですが、少なくとも経営側のアドバイザー的役割を果たす経営法曹の皆さんが、そういう雑音に惑わされずに、労使のあり方について的確な認識を深めていかれれば、日本の労使関係の将来は決して暗いものではないと思います。
実務家たちは、その立場は異にしても、ちゃんと実際の姿を見に行って、その上でものごとを論じようとしています。事実を侮蔑しながら空論を吐きまくるインチキ評論家をちやほやしているのは、ものを考える暇のない愚かなマスコミ人くらいでしょう。
(追記)
上の「第3法則」については、第1法則、第2法則ともども、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html(池田信夫氏の3法則)
をご覧下さい。
>池田信夫氏の第1法則:池田信夫氏が自信たっぷり断言していることは、何の根拠もない虚構である蓋然性が高い。
>池田信夫氏の第2法則:池田信夫氏がもっともらしく引用する高名な学者の著書は、確かに存在するが、その中には池田氏の議論を根拠づけるような記述は存在しない蓋然性が高い。
>池田信夫氏の第3法則:池田信夫氏が議論の相手の属性(学歴等)や所属(組織等)に言及するときは、議論の中身自体では勝てないと判断しているからである蓋然性が高い。
なお、この第1法則の典型例が、「情報労連REPORT」10月号に掲載した
https://www.joho.or.jp/report/report/2010/1010report/p30.pdf(スウェーデンは解雇自由だって?)
です。池田信夫氏のインチキぶりをご堪能下さい。
この方は、こういう事実に基づく批判に対しては、絶対に中身の反論はせず、もっぱら相手の属性批判、所属組織批判のみによって議論に勝った振りをする手際にかけては天才的です。
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