組織率と小選挙区制と福祉政策の重点
以前本ブログで取り上げた「_h_japan」さんのつぶやきから、また大変興味深いファクトファインディング。
http://twitter.com/_h_japan/status/17253191838081024
>クリスマス〆切の英語論文を、もうちょっとがんばることに決めた。分析は終わったので、あとは分析結果の解釈を文章化する。就労支援政策が(現役世代の)自殺率を抑制し、年金制度は(高齢者の)自殺を抑制する。そして前者の抑制効果は、とりわけ日韓のような高度経済成長後の社会で顕著なのです。
http://twitter.com/_h_japan/status/17272230174003201
>そして、とりわけ日本で低いのは、年金支出ではなく、就労支援政策支出なわけで。では、就労支援政策支出を増やすであろう要因は何なのか。人口・経済・政治・社会変数を調べると、労働組合組織率だけが有意となる。2年後の労組率が高いと、3年後の就労支援政策支出が高くなる傾向があるのです。
http://twitter.com/_h_japan/status/17273237398360065
>また、「高齢者向け支出」を高める要因は何かというと、経済水準と高齢者率に加えて、小選挙区制の選挙制度(多数派主義的政治制度)が有意に正でした。福祉政策のなかで、高齢者向け政策は、最も「多数派向け」の政策だからだと思われます(貧者になるのは一部だけど高齢者になるのは全員だから)。
労働組合の組織率が高ければマクロ政策として現役世代への就労支援政策がとられ、現役世代の自殺率を抑制する。
小選挙区制にするとマクロ政策として引退世代への年金政策が中心になり、高齢世代の自殺を抑制する。
なるほど、ここ20年間の日本は、後者のメカニズムばかりが働き、前者のメカニズムはずっと後方に追いやられてきたわけですね。
考えてみると、山のような労働法案を抱えて鳴り物入りで労働国会といわれた2007年の通常国会が、いざ入ってみると年金記録問題ばかりが議論され、社会保険庁ばかりが叩かれ、肝心のはずの労働行政は叩いてすらもらえなかった(笑)のも、この労働組合の存在感の薄さと小選挙区制による世代的バイアスによるものだと考えると、非常によく分かります。
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