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2010年12月25日 (土)

間接雇用と製造業の生産性

New_3 さて、『日本労働研究雑誌』1月号では、恒例の労働経済白書をめぐる座談会が載っています。

平成22年版労働経済白書をめぐって――産業社会の変化と雇用・賃金の動向

安部 由起子(北海道大学大学院公共政策学連携研究部教授)

石水 喜夫(厚生労働省労働経済調査官)

大湾 秀雄(東京大学社会科学研究所教授)

篠崎 武久(早稲田大学理工学術院創造理工学部准教授)

石水さんにとってはあまり本筋ではない話題かも知れませんが、わたくしにとって大変興味深かったのは、篠崎さんと大湾さんが指摘されていた間接雇用の拡大によって製造業の生産性が見かけ上かさ上げされているのではないかという点でした。

>篠崎 ・・・これはやはりデータの話で、細かいことなのですけれども、労働投入量と、生産性との関係についてです。例えば総生産が拡大しても就業者数が伸びないという話がありましたけれども、おそらく生産現場で製造業にカウントされない就業者を使っていることの影響があると思います。派遣や請負だとサービス業に分類されてしまいますから、製造業の雇用者としてカウントされません。派遣や請負を使っていれば、生産額は伸びますけれど、就業者数は伸びないという話になる。とすれば、もしある分野において、生産額と就業者数との関係を正確に見たければ、生産に投入した実質の労働投入の総数を何らかの形で推定しないと、おそらく関係は見られないのではないか。・・・

>大湾 ・・・生産性のデータを使う場合は、本当に注意深くやらないと行けないと思うんです。というのは、いろいろな要素がそれをねじ曲げる方向で働いていますので、例えば今、派遣の話がありましたけれども、正社員が派遣に切り替わったときに、派遣社員が何をやっているかというのは、統計をつくる側は分からないので、派遣への支払いは投入コストとして測るわけです。そうすると、社内の正規従業員がつくっていれば200円かかったものが、派遣の人がつくると100円で済む場合、高い人件費が低い投入コストに切り替わることで、正規従業員一人あたりの付加価値はその分上がってしまう。本当は生産性が上がっていない。生産性は上がっていないんですが、社内から外部調達へ切り替わった労働の中身を統計をつくる側が把握できないために、生産性を大きくカウントしてしまう可能性がある。・・・

生産性という概念は、サービス業自体の拡大であれ、製造分野内部におけるサービス提供業者(派遣や請負)の拡大であれ、経済のサービス化が進めば進むほど、一筋縄ではいかなくなるのですね。

こういう難しさを念頭に置いて論じられなければならないことを、そこらのオッサンに毛が生えた程度の生産性認識で偉そうに語る御仁が横行するだけに、こういう専門家による的確な指摘は大切です。

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