『日本の若者と雇用』増刷
明石書店より、OECD編著、中島ゆり訳、私の監訳『日本の若者と雇用:OECD若年者雇用レビュー:日本』が、好評につき重版が決定したという連絡をいただきました。
今年初めに出版してから1年弱ですが、こういうOECDの専門的な書籍が増刷に至ったというのは、この間ご購読いただいた皆さまのおかげと感謝しております。
>OECDは日本を含む16カ国において、学校から職業への移行過程に関する一連の報告書の作成を開始した。各報告には、若者にとっての雇用への主な障壁に関する調査、学校から職業への移行を改善するために実施された既存の政策の適切性と有効性の評価、行政機関や労使団体によるさらなる行動に向けた一連の政策提言が含まれている。
この本の原著となる報告書が公表されたのは、いまから2年前になります。ちょうど派遣切りが大きな社会問題として騒がれ、若者の非正規労働が焦点になっていた時期でした。
本ブログでも、さっそくこの報告書を取り上げ、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-ce0b.html(日本は若者が安定した仕事につけるよう、もっとやれることがある)
>というわけで、まさに時宜を得たというか、時宜を得すぎているんじゃない、というぐらい絶好のタイミングで公表されておりますな。
その後、新進気鋭の研究者である中島ゆりさんの翻訳原稿を監訳するということになり、その作業がひととおり終わったところで、本ブログで宣伝させていただき、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/oecd-1901.html(OECD『日本の若者と仕事』翻訳刊行のお知らせ)
>原著が公表された昨年12月にも「まさに時宜を得たというか、時宜を得すぎているんじゃない、というぐらい絶好のタイミングで公表されておりますな」と申し上げたんですが、政権が変わって、「コンクリートから人へ」とか言っているはずなのに、その「人」作りを叩きつぶそうという動きも蠢動している今日、再び「まさに時宜を得たというか、時宜を得すぎているんじゃない、というぐらい絶好のタイミングで」翻訳出版することになるというのも、何かの巡り合わせでありましょうか・・・
今年初めに出版いたしましたが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-0da2.html(OECD『日本の若者と雇用』ついに刊行!)
幸い、多くの読者を得て、増刷に至ったわけです。
この際、もし未だお読みいただいていない方がおられましたら、お誘い合わせの上ご購読いただければ幸いです。世の中には、「OECDはこういっている」と一知半解を繰り広げる方々もおられますので、政策リテラシーを高める上からも、大変有用かと思います。
なお、若者雇用といえば、すぐに高齢者を目の仇にして「こいつらをクビして会社から叩き出せば、若者はみんなハッピーになる」というたぐいの議論を展開する向きもありますが、それがナンセンスであることは、同じOECDの報告書『世界の高齢化と雇用政策』をご覧いただければきちんと説明されています。こちらも併せてどうぞ。
>OECDが2001年から行ってきた高齢者雇用政策に関するレビューの統合報告書。先進諸国の高齢者雇用政策が、公的、私的年金制度、早期引退制度、就業への課税、使用者の年齢差別、年功賃金、解雇規制、職業訓練、職業紹介、健康と労働時間など、多面的に分析されている。特に、年齢差別禁止法制について、最新の動向が盛り込まれている。
また、近々、OECDのアクティベーション政策レビューの日本版が公表される予定で、その翻訳も明石書店から出版される予定です。
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