労働政策審議会会長見解
本日開催された労働政策審議会において、次のような会長見解が出されたようです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000xn4d-att/2r9852000000xpoh.pdf
(昨日とはリンク先のアドレスが異なっています。)
>1 出先機関改革
地域主権戦略会議では、出先機関改革として、ハローワークの地方移管が重点的に議論されているが、労働政策審議会では、これまで2回にわたり、公労使一致の下、「引き続き、国による全国ネットワークのサービス推進体制を堅持すべき」との意見を、厚生労働大臣に提出している。
ハローワークがますます機能的にその役割を果たすことができるよう、統合性、一体性を持った運営をすることが重要であるので、政府においては、この意見を尊重し、適切に対応していただきたい。
2 事業仕分け
雇用保険二事業や労災保険の社会復帰促進等事業は、労働者の保護や雇用のセーフティネットとして重要な役割を果たしており、労使の議論を積み重ねて作り上げられてきたものである。
今後、政府において事業仕分けへの対応を行う際には、これらの事業の果たしている役割や経緯を踏まえ、雇用労働の当事者でもある労使及び雇用労働政策に幅広い知見を有する学識経験者の意見を尊重していただきたい。
もちろん、大変に抑制された表現になっていますが、だからといって怒りが小さいなどと考えてもらっては困るということでありましょう。
政策の各論はまったくわかりもしないままただただ地方分権とか事業仕分けという言葉にパブロフの犬のごとく反応する、一部の「政治学者、政治評論家、新聞の政治部記者」の上から目線の害悪が、この分野ほどもののみごとに露呈する領域はありません。
ここに現れているのは、ステークホルダー民主主義か、指導者ポピュリズムか、という対立軸です。
といっても、その「指導者」たるや、「なんだ、龍馬かぶれか」と犬にせせら笑われるようなレベルですけど。
ちなみに、先日の北大シンポジウムで山口二郎さんが、「最近の朝日新聞は目に余る」と述べていました。「あなたの責任は?」という台詞を呑み込んで言うならば、まったく同感です。政策の各論をわきまえないことを誇りに思っているとしか考えられないパブロフ記者が多すぎる。
(追記)
民主党の石橋みちひろ参議院議員がブログでこの問題を取り上げています。
http://blog.goo.ne.jp/i484jp/e/92193a823759e21f30bce5e13f94c4e0?fm=rss
>メディアは、相変わらず揚げ足をとったり、重箱の隅をつついたりするので忙しいようです。新聞を読むのが嫌になるぐらい・・・。先日ブログで紹介した、国の出先機関の地方移管について、地方移管してはいけないハローワークを真っ先に地方に移管しようとしていたという件。結局、民主党の地方主権調査会では、長時間かけて議論を尽くした上で、やはりハローワークは現在の一体的システムを維持しつつ、国と地方が協力・連携して、求職者への職業紹介サービスを充実・強化していこうという結論になりました。雇用政策、職業紹介業務、雇用保険を三位一体で維持していくことの重要性、日本が批准しているILO第88号条約との整合性、公労使の三者構成機関である労働政策審議会の意見尊重などを考えると、そういう結論が正論なわけです。
しかし、それを新聞各紙がどう報道しているか。皆さんもぜひ記事を読んで、論評して見て下さい。ある全国紙など、論議途中には「ハローワークを地方に移管していいのか!」と書いていたくせに、いざ決まると「地方移管の方針が骨抜き」と書いています。上記に述べた理由など何も吟味せずに・・・。あ、もしちゃんとした論評をして反論している新聞記事を見つけたら教えて下さい。そういうちゃんとしたところとは、しっかり記者にレクチャーしますから!
おーい、朝日新聞さん!せっかく労働グループを作って、そっちではいい記事を書いているのに、政治部に書かせるとぶちこわしですね。
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こんにちは
結局、メディアの民主調査会などの報道なども見ますとこの問題は最初がきちんとしていないからこうなったものと思います。メディアは労働組合の反対ばかりクローズアップしますけどそんな簡単なものではないわけです。メディア自身も勉強不足が多く見受けられます。地方メディアは特にです。政治が力ずくで持っていけるようなものでもない。労働に関する行政全体をどうするのか議論もなく進めていったからだと思います。知事会の事実誤認が多すぎる主張もまた要因だと思います。 結局は事実をきちんと勉強、共有してどうしていくのかという手順を踏まないと力ずくでは無理があると思います。
投稿: やすひろ | 2010年12月 2日 (木) 07時12分