連合総研『DIO』12月号
連合総研の機関誌『DIO』12月号は、「ハラスメントと職場風土」が特集です。
パワーハラスメント−職場に閉じられる怒り− 金子 雅臣
公益通報者保護制度と労働者の苦情処理制度 橋本 陽子
ハラスメント防止の5カ条―パワハラのない職場づくりに向けて、今、労働組合が果たすべき役割 三木 啓子
という3本ですが、ここでは橋本陽子先生の文章が注目です。
これの表1を見れば分かるように、外部公益通報されたケースの圧倒的大部分が、労働基準法等労働基準監督署が通報先となる法律なんですね。それだけでなく内部通報も労働法関係が圧倒的であることは、JILPT内藤研究員が実証しているとおりです。
>しかし、いずれにしても、外部機関に申し立てられた公益通報の内容が、圧倒的に労働法令違反の事実であるということは、公益通報制度の実態を理解するうえで重要であろう。 外部通報だけでなく、内部通報においても、その利用実態は労働法上の苦情申し立てが大半であることが、企業ヒアリング等で明らかになっている(詳細は、内藤忍「内部通報制度を利用した労働者の苦情処理−労働紛争予防の観点から」JILPT〔労働政策研究・研修機構〕ディスカッションペーパー09-06〔2009〕)。とくに、パワハラに関する相談が多く、近年増加していること、ハラスメント以外の人間関係の悩みに関する相談も寄せられていること、その他、人事処遇に関する問題や労働条件に関する問題、さらに仕事の割り振りなどの業務運営に関する苦情や相談が内部通報窓口に寄せられているという(前掲・内藤論文・37頁)。
橋本先生は最後に、
>筆者自身は、内部通報制度の運用自体も中小企業にとっては負担であるので、それ以前に、職場の日常において、トラブルが解決できないのであろうか、と考えている。労働組合の役割も、このような職場環境の実現に向けられるべきではないだろうか。例えば、苦情処理の相談員としての研修を受けた組合役員が時々職場を回って、従業員と世間話をするような雰囲気があるだけで、従業員の不満の蓄積やトラブルの表面化は相当程度回避されるように思われる。
と書かれていますが、そもそもそういう職場風土が失われてきているという問題が根っこにありそうな気もします。
これは、日本の職場社会のあり方という大問題につながる話題ですので、また改めて・・・。
« 革マル派機関紙の連合批判 | トップページ | 自動車総連GoodWorkセミナー »
http://twitter.com/sentanken
もう捕捉ずみかもしれませんが、偶然…
投稿: 匿名 | 2010年12月 9日 (木) 16時59分