労使関係の味方です
『労働新聞』といっても、先日三代目襲名記念にいきなり暴力装置を発動したどこぞの国ではなく、日本の業界紙ですが、その「ぶれい考」に連載していた野川忍先生が、最終回にこういうことを述べています。とても大事で、『労働新聞』読者だけに独占させるのはもったいないので(失礼)、一部紹介しますね。
>労働法を専攻しています、などというと、労働組合の旗振り役か、あるいは逆に経営者に知恵を付ける家老役か、というように色眼鏡で見られることも少なくない。・・・
>それでは、労働法の研究者としてお前は・・・どちらの味方でもないか、と問われる折には、いつも「私は労使関係の味方です」と答えている。
>世の中には、憲法で保障されている労働組合を「我が社には必要ない」と公言してはばからない時代錯誤の経営者が後を絶たず、労働組合といえば政治運動の道具のように考えるイデオローグもまだ根強い勢力を保っている。
>しかし、労働組合の結成と、団体交渉を中心とした労使関係の構築とが憲法によって促されているのは、労使関係こそが経済社会の要だからである。・・・よき資本主義のお手本とされているフィンランドしかり、デンマークしかり。
>労働組合が労働者を代表して使用者と交渉し、両者の対等な交渉による合意の下で労働条件その他の労働者の処遇や労使関係のルールが確立されていく、というのは、健全な市場経済を展開する上ではごく自然で当たり前の姿である。
>・・・私としては、今後も労使どちらの側にでもなく、「労使関係」の側に立ち続けたいと願うものである。
付け加えることは何もありませんが、こういうまっとうな認識に立脚した議論ではなく、偏頗で歪曲された議論ばかりがマスコミで横行するのが現状なのですが(若い頃に労働運動を政治運動の道具と考えていたような手合いに限って、経営者になったり経済学者になってから労働組合を敵視するような気もしますが)。
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