ジョブ型医師労働市場における医局メンバーシップ
医療分野は、日本の中ではきわめて例外的に公的資格に基づくジョブ型労働市場が確立している世界ですが、その中における人的資源配分メカニズムが「医局」と呼ばれる半公式的労働者供給事業体によって担われてきたことは、ジョブとメンバーシップの現実社会における関係を考える上で興味深いものがあります。
わたくしは医療の世界には全然詳しくないのですが、猪飼周平さんの『病院の世紀の理論』(有斐閣)の最後の「第8章 医局制度の形成とその変容」が、この分野について詳しく解説していて、ためになります。
もちろん、猪飼さんの問題意識は日本の医療システムのあり方にあり、わたくしの関心はジョブ型労働市場を円滑に作動させるためには何が必要なのか?というところにあるのですが、医師という社会的に最もハイレベルに属する専門職業の人材配分が、事実上の支配関係に基づき各医療機関にローテーション的に供給されるというメカニズムを要請していたという点に、専門職型労働市場をどう構築するかという問題に対するヒントや落とし穴がいろいろ詰まっていそうです。
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コメント
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>医療分野は、日本の中ではきわめて例外的に公的資格に基づくジョブ型労働市場が確立している世界ですが、
人命を扱うのがトラックの運転手でも、医者でも同じというのなら、自分が無資格の医者から診療をうけたり、
手術を受ければいいだろう。無資格で手術をする医者は罰せられるが、患者のほうは罰せられないのだから、
それこそ自分について規制緩和をすればいい。
どんな発展途上国でも、現実には無資格の医者などいない。
よほどのマスコミの寵児でない限り、勉強をしていない人間が世の中を動かすことはない。
http://ameblo.jp/wadahideki/day-20101123.html
投稿: まさ | 2010年12月 2日 (木) 18時38分