松尾匡『図解雑学マルクス経済学』
松尾匡さんより、近著『図解雑学マルクス経済学』(ナツメ社)をお送りいただきました。ありがとうございます。
標題からすると、いかにもマルクス経済学のよく分かる解説書みたいですが、いやいや、これこそ著者自らによる『よく分かる松尾匡思想』以外の何ものでもありますまい。
松尾さんの考え方については、大変共感するところと、いささか疑問のあるところと、かなり根本的に意見が違うところがあるのではないかと思っておりまして、せっかくお送りいただいたので、じっくり読ませていただいた上で、徐々にコメントをしていきたいと存じます。
ただ、ざっと見て一言だけ。今回の本では「社会的なこと」という新たな言葉が出てきて、これがヒール役になっているのですね。
中身は、『近代の復権』でいう疎外された姿であり、『はだかの王様』でいう思い込みのことだと思うのですが、それを「ザ・ソーシャル」と言われてしまっては、話が逆転してしまいませんか?と思うのですが。
おそらく「わかりやすく」ということから「社会的なこと」という言葉遣いになったのだろうとは思うのですが。
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早速ご紹介いただきまして、誠にありがとうございます。
ちょっと重大な数字のミスなどの校正もれをしているので、拙サイトご確認いただければ幸いです。すみません。
「社会的なこと」はおっしゃる通り、『はだかの王様』での疎外概念の伝わらなさに面食らったもので、なんとかわかりやすくしようとした言い回しです。「全体的なこと」でもよかったのですが、それだと小さな集団での疎外が含まれないみたいに思ったので、一番一般的な言い方にしたものです。
もちろん「社会的なこと」から逃れることを提唱しているわけではなく、「社会的なこと」が一人歩きしないで各自のものになることを求めているということで、「反ソーシャル」でないことはご理解下さい。
投稿: 松尾匡 | 2010年11月 1日 (月) 13時50分
いえ、何を言いたいかは重々承知の上で、用語の選択にケチをつけているわけなので。
日本語の感覚からすると、「決まり事」「思い込み」「慣習」によって組み立てられている疎外された「社会」は、「世間」という言葉の方がふさわしい気がします。
>そんなこと世間が許さないよ・・・
投稿: hamachan | 2010年11月 1日 (月) 16時06分