労働局個別労働関係紛争処理事案の内容分析
労委協会から発行されている『中央労働時報』の11月号に、わたくしが去る9月28日の労使関係研究会でお話しした標記講演録が載っております。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/roui1011.html
ちょうどその直前に出た『ジュリスト』のわたくしの文章を資料に配ってお話ししたものであり、元はJILPTの報告書ですが、話し言葉のままにしてありますので、読みやすいかと。
来月半ばには、『季刊労働法』の第2特集としてこの分析が載りますので、その節にはまたよろしくお読みいただければ、と。
元の報告書はこちらからどうぞ:
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まず、hamachanの記事の一部を引用させて頂きます。
「本日は、基本的に私が担当した「雇用終了」を中心にお話いたします。その前に、全体的な傾向についてお話をしておきます。いちばん重要なのは「規模」で、大部分が100人未満の中小・零細企業です。10人未満が16%、10~30人が20%、30~50人が10.5%、50~99人が11.6%と、ここまでの100人未満を全部足すと65%です。そのほかに不明というのがありますが、これは労働者の規模がわからないのです。規模がわからないというのは、大体が中小・零細だろうと思うのですが、これが20%ぐらいあって、ここまでを全部足すと85%が中小・零細になります。全部がそうでなくても、80%ぐらいがそういうことになるだろうと思います。この労働局のあっせん事案というのは、圧倒的に中小・零細企業からのあっせん申請が多いことがわかります。
「雇用形態」で見ると、正社員が51.0%で約5割、パート・アルバイト・契約社員といった直用非正規が30.1%で約3割、派遣が11.5%で約1割ということで、5・3・1という分布になっています。ただ、雇用終了のところでお話をしていくとわかるのですが、中小・零細になればなるほど、正社員といっても直用非正規とそれほど変わらないというのがあるのかという気もいたしますが、全体としてはそんな状況です。」
で、これを読んで思ったのですが、中小企業はトラブルも多いとは思いますが、法にのっとってかつ合理的な経営と処遇がなされており、事業が順調であれば、そういう中小企業での、社員の満足度は、大企業より高いのではないでしょうか。
たとえば、地域の福祉関係の事業所などは、経営と処遇がまともであれば、通常、そこで働く人はとても高い満足度を持っているはずですし、安心して働き続けられるはずです。
もちろん、大企業とは異なる分野や手法で、新しい形の仕事を起こしてゆく中小企業でも、経営と処遇がまともであれば、そういうところの従業員は、大企業よりもずっと満足して働けるのでは。
で、そういう中小企業・事業所を支援し、育てることが、実は、正規・非正規の壁を崩してゆくことにもつながる、ということは、上記のhamachanの引用の後半から読み取れるように思うのですが。
投稿: 哲学の味方 | 2010年12月 1日 (水) 18時02分