力士をめぐる労働法 by 水町勇一郎
本日の朝日新聞のスポーツ面に、水町勇一郎先生が登場しています。
ネット上には載っていませんが、「引退強制訴え相次ぐ 外国出身元力士、協会相手取り」という見出しの記事で、
>外国出身者による一連の訴訟では、力士と相撲協会との労働関係の問題点があぶり出された、との指摘もある。
東大の水町勇一郎教授(労働法)は、力士への給与が協会から支払われていることを理由に、「労働契約は協会と力士の間で結ばれている。親方は中間管理職のようなもので、力士の解雇権はない。協会のコンプライアンス(法令遵守)に疑問が残る」と語る。
各界の常識では、力士の進退は師匠が握るとされており、引退届に師匠の印鑑と署名があれば事実上、本人の意向にかかわらずに引退が決まる。・・・水町教授の指摘は、この「常識」を根底から覆す。
・・・選手が「個人事業主」として球団と契約するプロ野球と異なり、厚生年金に加入する大相撲力士の雇用形態はサラリーマンに近い。「解雇する場合は少なくとも30日前に予告する」との労働基準法20条の規定対象になるという。
水町教授は「昔ながらの家族的な部屋経営にも確かに良い部分はあるが、今は時代が違う。日本的な考え方になじまない外国人や、ジェネレーションギャップ(世代間格差)のある日本人が入ってきている現状を考えると、元大勇武、元大天肖らの類似例は増えていく可能性がある」と話している。
水町先生は、力士の労働者性はもはや前提として話されていますね。
この問題については、本ブログで折に触れ、何回も取り上げてきました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_c64e.html(力士の労働者性)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_fd03.html(時津風親方の労働者性)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_bbf0.html(幕下以下は労働者か?)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-d31a.html(力士の解雇訴訟)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-b776.html(朝青龍と労働法)
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