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2010年10月18日 (月)

池田信夫氏の勇み足

一知半解で有名な池田信夫氏が、厚生労働省の有期労働研究会で座長を務めた鎌田耕一先生に絡んでいます。

http://twitter.com/ikedanob/status/27611183137

>有期雇用研究会の鎌田耕一座長は「OECDは日本の労働市場に二重性があると批判している」というが、彼らは「正社員の雇用保護を削減せよ」といってるんだよ。労働法学者って英語も読めないの?

もちろん、本ブログを以前からお読みの皆さんには、英語が読めないのがどちらであるかはとうにおわかりでしょう。

Youth OECDが具体的にどういうことを日本に求めているのか、中島ゆりさんが翻訳し、わたくしが監訳した『日本の若者と雇用 OECD若年者雇用レビュー:日本』から、そのまま引用しましょう。訳書の105ページです。

>このような線に沿った雇用保護規制の改革に先立って外部労働市場の機能を改善するための積極的労働市場プログラムとともに、より寛大な失業給付及びその他の職場ベースの社会保険制度を導入する必要がある。・・・もし、それがなされれば、正規雇用と非正規雇用の保護上の格差を減らすという観点で雇用保護規制が改革されうる。これには正規契約をしている労働者の雇用保護規制の厳格性を緩和する一方で、有期労働者、パートタイム労働者、派遣労働者に対する保護を強化することが含まれるだろう。前者の一つの選択肢は、正規契約をしている労働者の解雇事案の解決のため主に判例法理に依存した現在の手続きよりも、より明確で、より予測可能で、より迅速な手続きを導入することだろう。これらの改革措置は労使団体の参加により確かに計画され実施されることが重要であろう(Rebick, 2005)。

>労働市場の二重構造の拡大に対処するため、賃金と各種給付上の差別待遇に取り組む上で、さらにすべきことがある。たとえば、差別禁止法を施行し賃金その他の手当における差別的慣行を減らしていくことで、非正規労働者を採用するインセンティヴを弱めるだろう

一読すればおわかりのように、OECDの議論はまことにバランスのとれたものです。

確かに、OECDは正規労働者の雇用保護の厳格性を緩和することを求めています。具体的には整理解雇4要件の見直しということになります。これは本ブログの読者はおわかりの通り、わたくしも累次にわたってその必要性を述べてきたことです。

しかし、OECDはどこかの一知半解さんとは違って、それだけで話を終わらせるようなことはしません。「正規雇用と非正規雇用の保護上の格差を減らす」というのは、もちろん「正規契約をしている労働者の雇用保護規制の厳格性を緩和する一方で、有期労働者、パートタイム労働者、派遣労働者に対する保護を強化する」ことであるわけです。

そして、鎌田先生が座長をしていた有期労働研究会は、まさにこのOECDが求めている「有期労働者・・・に対する保護を強化する」政策方向を探ってきたわけですから、そういうことを何も知らずに「労働法学者って英語も読めないの?」などと言い放てる池田信夫氏の神経には驚嘆の念を禁じ得ません。

池田信夫氏は、英語でとは言いませんが、せめて日本語で翻訳の出ている雇用労働関係のOECD文書くらいは目を通してからつぶやいた方がいいと思います。

(追記)

なお、同じくOECDのアクティベーション報告書を、わたくしの翻訳により、『日本の労働市場改革-OECDアクティベーションレビュー:日本』として、同じく明石書店から刊行する予定です。ご期待ください。

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