野川忍先生の『労働法問題集』と『労働判例インデックス第2版』
野川忍先生から一挙に2冊もお送りいただきました。一つは『労働法問題集』。もう一冊は『労働判例インデックス第2版』。いずれも商事法務からです。
最近はこういう「ひとりで全部書いたぞ!」タイプの学習書が多くなった気がしますが、野川先生は大内先生と並ぶ双璧ですね。
ちなみに、野川先生の最近のつぶやきから:
http://twitter.com/theophil21/status/26338083595
>(1)雇用については、基本原則を理解せずに思いつきを口走る人が多いですね。日本で解雇が厳しいように見えるのは、企業自身が、「雇用保障と人事権」との取引を労働者と合意してきたからです。
http://twitter.com/theophil21/status/26338226933
>(2)解雇を自由にしたければ、兼職自由、ロイヤリティーは求めず、人事はすべて個々の労働者との合意によってのみ行う、ということにすればよい。「雇用は保障するから、世界にもまれな企業絶対権力に服従してくれ」と日本の企業は言ってきたのです。
http://twitter.com/theophil21/status/26338393772
>(3) 日本の企業には、人事権を放棄し、すべて合意の上で労働者を処遇していくという気迫があるのかということです。 もし、すべては合意、というルールを本気で企業社会に定着させるならば、今の法制度のもとでも、解雇は十分に自由度を増すでしょう。
まあ「企業絶対権力」というか、労働義務の内容的・時間的・空間的無限定性と、仕事がなくなっても企業ある限り存続する雇用保障義務との社会的交換であって、いいとこ取りはできないというだけのことですね。
むしろ問題は、かかる雇用保障義務が事実上存在しない中小零細企業の労働者でも、大企業モデルの無限定的労働義務が程度の差はあれ規範化されていて、一種のやらずぶったくりが可能になっていることではないかと思います。
雇用システムの二極化の弊害はそのあたりにもあるように感じられ、それゆえに限定的な労働義務と限定的な雇用保障義務のバランスした雇用関係モデル(ジョブ型正社員)が必要なのだと思うのです。
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実際の経営者以外で、所謂解雇自由化の必要性をコラムやブログで書くようなのは、無邪気な、悪く言うと現実が見えていないような人、主義者のようなので、解雇自由化のために人事権を手放すのが必要だと認識すれば、「人事権?解雇自由化のためならいくらでも手放したらいいさ、いやむしろ手放せ」といいそうな気もします
投稿: 匿名希望 | 2010年10月 8日 (金) 06時56分