従業員尊重義務@デンマーク労働法
デンマークといえば首斬り自由という条件反射のパブロフの犬たちがいっぱいいるわけですが、そうではないという話は本ブログでも書いてきたことなので、それ以外の側面について。
実は、EUレベルでまとめたものしか読んでいなくて、デンマークの労働法制全体のことはいまいちよく分からないところがあったので、ハッセルバルク氏の『デンマークの労働法』(クルーワー)をぱらぱらと読んでみたのですが、
>The Duty of Respect towards the Employee
というパラグラフ(293)があって、おおむねこういうことが書いてありました。整理解雇はほぼそのまま認められるし、不当解雇もほとんど1年分の範囲で金銭解決しているデンマークですが、基本的な使用者と従業員の関係について、こういう規範があるということも知られていいように思います。
>使用者は、もちろん、従業員に対してまっとうな(decent)やり方で振る舞う義務がある。彼は従業員に対して暴力や虐待的(abusive)言動をしてはならない。1908年のLO(労組)とDA(経団連)の基本協約の第5条には、その尊厳が攻撃された従業員は使用者から適切な謝罪を得るまでは労働を停止する権利を有する。このルールはまた、労働協約によって規制されない労働関係にも適用される。使用者の従業員に対する行動がそのような効果を有するかどうかを決定する際には、司法当局は事案の実際の状況に基づいて判断しなければならず、企業内の通常の言語を考慮に入れる。一般には、従業員は自らの自己尊厳が攻撃されないようなやり方で取り扱われなければならない。・・・もし使用者が従業員を深刻なやり方で攻撃した場合には、そのような行動は重大な契約違反をみなされ、従業員は予告なく契約を終了する権利を有し、使用者に補償を支払うよう義務づけることができる。
デンマークの労働法の一つの重要な側面がここに示されていると思います。
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