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« スウェーデンは解雇自由だって!? | トップページ | 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会 »

2010年10月16日 (土)

仕事ない・・・・訓練の場もない 80施設全廃 求職者に打撃@読売新聞

本日の読売新聞15面は、大津和夫記者の正義感あふれる記事です。

題して「仕事ない・・・・訓練の場もない 80施設全廃 求職者に打撃」

>政府は、全国約80カ所ある国の地域職業訓練センターを、来年3月までに全廃する方針を示している。完全失業率が5%を超える雇用情勢が続く今、国による公共職業訓練の見直しが妥当かどうか、揺れる現場を訪ねた。

新卒3年扱いなどという枝葉には過剰に反応するくせに、こういう一番大事なことには鈍感で、職業訓練を「ムダ」としか認知できない愚昧な政治家や学者やマスコミ人が多い中、大津記者のセンスはひときわ光ります。

>「仕事も少ないのに、訓練の場までなくなるんですか」と、北海道の苫小牧地域職業訓練センターに通う苫小牧市の男性(31)。・・・「センターがなくなれば、高いお金を出して民間の講座を受けるしかない」とうなだれた

こういう一番求められていることを「ムダ」としか認知できない感性は、日本型雇用システムの中で、もっぱら企業内教育訓練のみで育てられてきたために、公的な職業教育や職業訓練なんか「俺たちと違う落ちこぼれの行くところ」という風にしか感じてこなかった傲慢な人々の精神構造を物語って余りあります。

>リクルートワークス研究所(東京)の大久保幸夫所長は、「国は機構の組織の無駄を省くことと、安全網の話を混同している。職業訓練は国が保障すべき分野。財政面でもノウハウの面でも、地方に任せるのは難しい。地域間で格差が生じる恐れもある」と指摘する

ものの分かった人は誰でもそういうのですが、悲しいことにものの分かっていない一知半解無知蒙昧の徒輩の戯言ばかりがもてはやされるのですね。

>「訓練を地方に丸投げするのは無責任」、「なぜニーズの高い施設も廃止するのか」など、他の自治体からも疑問が噴出している。

この記事には、本ブログの読者の皆さんにはおなじみの、例のOECDの積極的労働市場政策への国の支出の割合のグラフも載っていますが、このグラフを見て「何とかしなければいけない」と思う人ははじめからそう思っているのであって、愚昧な人々は「ああ、アメリカと同水準だからいいや」とか「ヨーロッパ諸国は良くもこんなムダなことに大量の金を使っているんだなあ」としか感じないのでしょうね。付ける薬のない人ほど始末に負えないものはないわけですが。

いずれにしても、記事の最後の慶応の清家塾長の言葉がいい締めになってます。

>今後の国の最大の課題は、労働者の能力開発。国、自治体、企業の3社が連繋し、利用者本位の視点で質や内容を改善すべきだ。特に、非正社員など困難な問題を抱える若者の訓練費用は社会全体で負担する必要がある。

公的職業訓練を「ムダ」だと敵視する人々は、若者の訓練費用を社会全体で負担したくないエゴイストなのでしょう。

(参考)

読売新聞の良心大津和夫記者については、本ブログでも何回か取り上げてきました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post_5410.html(大津和夫『置き去り社会の孤独』)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-5b6c.html(子供の貧困…親から続く「負の連鎖」)

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コメント

http://jp.wsj.com/index.php/Economy/node_133984

(前後はわかりませんが)
”就職の機会がないことで、半年以上失業状態にある人たちの数が増えている。彼らの持っている技能は古くなり、一方でテクノロジーは変遷していくことから、失業者は取り残され、このため失業状況は悪化していく。スティグリッツ氏は「人的資源の減価だ」と指摘する。

 長期失業は政府の赤字を暗示する。支出サイドから見ると、より多くの人が公的な支援を要求する。同氏は「フリーフォール」の中で、リセッションのために、それがなかった場合に比べて50万人多い人たちが2011年末までに障害保険を受け取ることになる、との社会保障局の見通しを引用している。収入サイドでは、所得の減少は連邦、州のいずれでも税収の減少につながる。”

そりゃ失業者が多ければ支出が増えるし収入が減る、と。
(再就職できるように支援すれば結局の支出は減るし税収は増える)

財政再建緊縮なんとか論者はこういうのに目を瞑っているのでしょうか??

昔、テレビ東京でみのもんた司会の「愛の貧乏脱出大作戦」という番組がありました(みのもんたはキライでしたが、教訓も多い番組でしたので見ておりました)。
主に飲食店を中心に客の入りの悪い店の店主を「達人」の元に短期間弟子入りさせて店をリニューアルオープンさせるというものでしたが、番組に登場するまでのパターンで比較的多かったものが、

  1. 客が来ない
  2. 腕を磨く(維持する)実践・応用の場がなくなる
  3. さらに腕が落ちる
  4. 客足が遠のく
  5. 1に戻る(繰り返し)

というものでした。
この種の悪循環が既に身近でも多く発生しておりますが、今後それが加速すると思うと暗澹たる思いがします。

 民間に訓練を委託すればいいという考えでしょう。
けど、民間でやるのはあくまで事務系や介護系で
技術系は設備投資も必要でそのようなノウハウは
一朝一夕にできるわけではないのでできない。
 情報系や建築、金属加工などの分野は
設備投資が必要で現実、民間ではやっていない。

 

公的な職業訓練施設を天下りがあるからといって無駄無駄と叫び続けたマスコミの責任は重い。

今更ながらこのような記事が出るとは、非常に腹立たしい。

自民党と民主党それぞれに小さな政府派と大きな政府派が同居していて、いずれはその対立軸に沿って政界再編するべきだと思うが、全国紙もその対立軸に沿って再編してほしい。

わたしの仕事館、あれを救ってやれなかったことはとても残念であり、最近は我が国の国民に対して絶望感を感じる。

これはどの国にもある構図のようです。
クルーグマン「明かりの消えるアメリカ」(2010-08-08)
http://bit.ly/8XRNe7
「反政府キャンペーンはいつも決まって無駄遣いと詐欺への反対という体裁をとってきた.キャデラックを転がす「福祉の女王」宛ての小切手だの,むだに書類ばかりつくってる役人の群れだの,そういうのに反対するかたちをとってきた.でも,もちろんこういうのは神話だ.右派が主張するほどの無駄や詐欺なんて控えめにみてもなかった.」

私も、その記事を読んでみました。
でも、私の感想は、上のコメントの方々とは(hamachanとも)違います。まともな就職に結びつく職業訓練が必要だという声について述べたこの記事は、最後に、「『訓練内容が雇用のニーズとマッチしていない』との批判が絶えない」と書いてあります。また、記者が出している統計は、国の職業訓練への財政支出の国際比較と、研修を実施している事業所割合で、現在ある厚労省の職業訓練機関の有効性についての統計はありません。
私自身は、雇用に結びつく職業訓練の必要性は大いに認めるものの、現在の厚労省の諸機関・制度については、むしろ、その必要性に沿って、「仕分け」=廃止、ではなく、抜本的改善が必要だと思っています。
「私のしごと館」について、好意的な意見の方がおられましたが、実際にその施設を見たことのある私は、とても同じ感想は持てません。私はたまたま別の所に行く途中に、「私のしごと館」を見たのですが、とても不便なところに、いやに大きくて豪華な建物があり、それがそうでした。580億をかけて建設し、オープン2年目の04年には、メンテ費用21億円に対して収入が1億1千万、赤字は雇用保険料から穴埋めしていながら、300人の館員の平均年収が約800万円であったというこの巨大施設(数字は、「実業界」2006年3月号の記事によっています)、廃止されて当然だったというのが私の意見です。

なお、私は、職業訓練施設について、私見ですが、教育ともっと提携すべきではないかと思っています。部外者が全く自由に述べさせてもらう意見ですが、文部科学省と提携すべきなのは、幼稚園・保育園だけではないのでは。各県のけっこう不便なところに散らばっている職業訓練施設。一方、各県に一つ、とても便利なところに国立大学があります。職業訓練の中でも、今の時代に必須のIT訓練、これは、夜は授業のない国立大学を利用し、収入の道を求めるポスドクなどに手伝ってもらってやればいいのでは、と、私は思っています。もっとも、そういう公的職業訓練は、民間のIT系訓練・資格産業には「商売敵」になるでしょうけれども、基礎的訓練は公的に、高度な訓練は民間で、などの棲み分けも考えるべきだと思います。

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