鬼面人を驚かす問題提起
『大原社会問題研究所雑誌』2010年10月号に、鈴木不二一さんによる『労使コミュニケーション』(ミネルヴァ書房)の書評が載っています。
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/625/index.html
本書全体に対しては、序章の問題意識が各論に共有されていないのではないかと批判し、「はっきりいって、指揮者のいないオーケストラを聴かされたような気分であった」と、かなり辛口の批評です。
わたくしの執筆した「第11章 労働行政」については、
>あまりに大きな課題と鋭い分析意欲を小さなスペースに押し込んだ結果として、読者はやや消化不良の感を抱いて章末に至る感がある。
とまことに的確に喝破され、特に前半の時代区分に対しては、
>既存の用語を使いながら、まことに鬼面人を驚かす問題提起といえよう。・・・もう少し丁寧な解説が必要となるのではないか。
と指摘されています。まことにもっともであります。わざと人に違和感を与えるような用語法をしているわけなので、本書における説明が舌っ足らずであることは認識しております。
ちなみに、戦中期から戦争直後期までを一括する概念としての「社会主義の時代」については、
>また、「社会主義」ということばの使い方は、説明を読めば著者の意図は了解されるとはいうものの、やはり評者にとっては違和感が払拭できなかったことを付言しておこう。
という反応はまさに予期、というよりむしろ期待したものであります。その違和感から議論を出発させたいのです。
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