僧侶は労働者?破門は解雇?
『労働判例』10月15日号掲載の“妙應寺事件”は、僧侶の労働者性が問題になった興味深い事案です。
もともとは宗派内部の紛争から発生したようですが、
>・・・各宗教活動につき、逐一住職から支持を受け、また、報告をしていなかったとしても、担当の地域が決められ、その地域内で宗教活動をしているのであれば、使用者からの指示に従って活動していると評価することができる。
>また、被告は僧侶には定められた休日や有給休暇はなく、残業手当等もなくて、その就労実態からすると労働基準法をまったく無視していると主張するが、労働基準法が遵守されていないことをもって、僧侶が労働基準法上の労働者でないということはできないから、被告の主張は採用できない。
と、僧侶の労働者性を肯定し、本件破門を解雇と認めました。もっとも、解雇は客観的に合理的で社会的相当性もあるとして認めています。
「労働基準法を無視しているから労働者じゃない」ってのは何という主張か、と思いますが、じつはそもそも宗教労働者に労働時間規制を適用することには無理があり、EU労働時間指令でも、第17条第1項の適用除外で、「経営管理者」「家族従業者」とならんで、
>教会及び宗教団体の宗教儀式を執り行う労働者
は適用除外とされています。
それはまあ、そういうもんでしょうが、だから僧侶が労働者でないというわけではないということでしょう。
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