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2010年10月20日 (水)

上西充子・川喜多喬編著『就職活動から一人前の組織人まで』

Image_display ということで、本日午前中ゲスト講師として出た職業選択論を教えておられる上西充子先生より、その編著書『就職活動から一人前の組織人まで』(同友館)を直接いただきました。

http://www.doyukan.co.jp/item_047152.html

>法政大学大学院人材育成研究所の研究会での研究をもとに、大学生が就職活動時期から事業組織に入って一人立ちするまでの時期、「初期キャリア」に関わる論文を集めた。ヒアリング調査などによる事例を豊富に取り上げ、実証的に読みやすくまとめられた研究書

目次は

第I部 学校から職場へ:初期キャリア形成の問題状況
 第1章  なにが早期離職をもたらすのか
第II部 学生と企業との出会いから組織人3年目まで
 第2章  新規学卒者の採用から定着までの企業による支援活動
 第3章  企業との長期共同プロジェクトが大学生にもたらす学習効果
 第4章  大卒事務系総合職の初期キャリア形成
 第5章  成長ベンチャー企業における新卒社員の初期キャリア形成
第III部 プロフェッショナル層の入社から「一人前」まで
 第6章  一人前への路:コンサルタントの場合
 第7章  一人前というロールモデルの可能性
 第8章  中途採用エンジニアのスムーズな立ち上がり支援策
第IV部 学校から職業への移行過程:解題に代えて
 第9章  初期キャリア形成の理論と企業行動

上西先生が書かれているのは、第1章の「なにが早期離職をもたらすのか」で、5人の新規大卒者のヒアリングを通じて、どういう企業で早期離職が生じ、そういう企業では定着するのかを、大変ビビッドに描き出されています。とりわけ、入社1年で離職した葛西順子さん(仮名)や入社4ヶ月で離職した久米宏隆さん(仮名)のケースは、とっても考えさせられます。

そのほかの論文もいずれも読み応えがあります。

が、やはりここは川喜多節全開の第9章でしょう。

はい、全国の川喜多ファンの皆様、川喜多節ですよ!

>これが今、学生時代に教わっていれば、「就活」とやらに直面して慌てて就活支援業者からにわか作り、付け焼き刃で教わることがなかったろう。企業が新入社員教育で読み書きそろばん礼儀作法を教えるのに多大の時間を使うことはなかったであろう。現実には、大学教員の多くは自らを職業人として養成するところと思わず、それを恥とすら考え、ひとり就職部の職員の努力があった。悩みに答えたのは就職支援産業であったが、その言動に学問側からの検証はほとんどされてこなかった。ゆえに学生は就職にとまどうことから始まって、初期キャリア形成にさまざまな困難を抱えたこと、周知の通りである。

>大学での職業訓練の不十分は今に始まったことではない。明治時代には多くの大学は実業学校であったし、また特に現在の私大は実業という名称を付けていた。それがどういうわけか大学の方が権威があると思いこんだのか、実業、職業という名前を外して一斉に大学になった。関学でも一橋などは実業学校から大学への「格上げ」のために教授・学生が騒動を起こすほどであった。現在でも、職業訓練をもう少し重視すべきではないかという意見が出るたびに、大学関係者やその団体が職業教育偏重反対という声を上げるのは周知の通りである。

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