労働組合による労働者供給事業について
雑誌『労働情報』799号が「労働組合による労働者供給事業の意義と倫理性」という特集を組んでいます。
◎「労働組合」とは何か 新運転の東京地裁判決から考える
……石川 源嗣(全国一般東京東部労組副委員長)
◎企業内組合とは別物 労供事業を通じて雇用安定を図る
……太田 武二(新産別運転者労働組合東京地本書記長)
◎労働市場の統制をめざす労働者供給事業
……木下 武男(昭和女子大学特任教授)
論点は、今年3月の新運転事件東京地裁判決(東京地判平22.3.24判タ1325号125頁)ですが、労働組合のあるべき姿から新運転幹部を批判する石川氏と、企業別組合とはまったく異なる外部労働市場のアクターとしての労供労組を指摘する太田氏のやりとりが興味深いところです。
実は、この件については、来月発行される雑誌の文章で取り上げており、あんまり詳しくここで議論できないのですが、もっぱら使用者との関係で保護を与えられている労組法の労働組合の議論を、本質的には労働者派遣事業と変わらないことを非営利の協同組合原則で行っている労供労組に不用意に持ち込むことの危険性が露呈しているようにも思われます。
やや違った角度からですが、同じように労組労供事業に不当労働行為概念を持ち込んだ事案として近畿生コン事件があります。これについても、そのうち出る文章で取り上げていますが、そろそろ労供労組という事業体を正面から捉えた法理論をきちんと構築していくべき時期にさしかかっているように思われます。
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