バイトの悩み 学校お助け
本日の朝日の教育面に、「バイトの悩み 学校お助け」という好記事が載っています。
>夏休みをきっかけにアルバイトを始めた高校生も多いだろう。自分で自由になるお金を稼ぐ体験は貴重だが、「テストが近いのに休ませてくれない」「サービス残業を押しつけられる」「バイト代が最低賃金以下」などで困った場合、どうすればいいのか。生徒たちのアルバイト体験を通して「働くルール」を学ぶ授業が始まっている。
というリードで、千葉県立犢橋高校の角谷先生と、おなじみ神奈川県立田奈高校の吉田美穂先生の実践が報じられています。右下には本田由紀先生のコメントもあります。
角谷先生編:
>きっかけは2005年から始め、今は1年生の総合的な学習の時間で取り組む「働くルール」の授業だ。「卒業しても役に立つことをしよう」と始めた。本来の担当は日本史だが、「日本史より、よっぽどみんな真剣に聞いている」という。
>卒業後も、多くの子にとってアルバイト生活は続く。一生がバイト生活という人生も少なくない世代だ。「働くルールを知っていれば、間違っていると声を上げたり、誰かに相談したりできる。泣き寝入りしないために高校時代に学んでほしい」
吉田先生編:
>同校では1年の終わりで4分の3の生徒にアルバイトの経験がある。「卒業してからではなく今、労働法を学び、自分のものにしなければいけない」と担当する吉田美穂教諭。
>「授業であんな話をした、と覚えておいてくれたら、社会に出ても注意できるし、何かあれば相談してくれる。弱い立場の彼らこそ労働法が必要なのです」
この問題については、本ブログでも何回か取り上げてきました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-6f0e.html(神奈川県立田奈高校の労働教育)
>中でも興味深いのは、神奈川県立田奈高校の吉田美穂先生のお話でした。この高校、進学、就職、「その他」(=フリーター等)がほぼ3分の一ずつという普通高校ですが、先生方が熱心に進路研究に取り組んでいます。
>実は、田奈高校、経済的事情から中退する生徒も多く、多くの生徒が経済的理由からアルバイトをしています。アルバイト禁止などと云って済ませているわけには行かない事情があるんですね。高校卒業後の話と云うだけではなく、現に高校生でありつつ労働者でもある彼らの権利を守るには・・・という問題意識を持たざるを得ないということなのでしょう。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-5e38.html(第4回今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会議事録)
>この回は神奈川県立田奈高等学校教諭の吉田美穂先生が説明されたのですが、正直言って、それまでのNPOの方々の説明とか、労働相談員の方の説明はだいたい想定内だったのですが、この吉田先生のお話はいささかそれを超えるところがありました。
>「家庭の婦女子や学生アルバイト」という十把一絡げは、パートタイマーや派遣労働者だけではなく、高校生アルバイトですらもはや現実に合わなくなってきているんですね。
>この十数年間声高に叫ばれ続けた自己責任論は、各界の要職にある中高年の方々には(少なくとも自らの行動規範としては)あまり影響を及ぼしていないようですが、自己責任論のあふれる中で人格形成をしてきた素直な若者たちには明確な影響を与えているようです。
それも、人の自己責任を過剰に追及するという中高年によく見られる形ではなく、追求すべきでもない自分の自己責任を過剰に追及するという形で・・・。
>最大の労働教育は、彼らがアルバイトで働く職場できちんと労働法が守られるようにすることなのかも知れません。
読めば読むほど考えさせるでしょう?
なお、労働教育についてはこのコラムをどうぞ。
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