原みどり『若年労働力の構造と雇用問題』創成社
原みどりさんより、近著『若年労働力の構造と雇用問題-人的資源活用の視点から』(創成社)をお送りいただきました。ありがとうございます。
本書の特徴は「はしがき」で述べているように、
>重要であるのは、狭い範囲での厳密性を重んじた理論やモデルの目新しさではなく、客観性を持ちつつ現実の経済問題をどの程度解明していくことができるかにある。厳密な理論分析であっても適用範囲が狭い、あるいはそれを統計データで裏付けることが難しければ、分析結果の解釈もかなり限定されざるを得ない。
>本所は、人的資源の活用という視点から若年労働力の動向について、企業及び家計の両サイドから問題点を指摘したものである。その際、一般的なミクロ理論に準拠し統計計量分析を行っているが、手法自体にこだわりすぎることなく、各種の統計を活用しつつファクトファインディングを行うことを中心としているところに特徴がある。
のですが、とりわけ興味深かったのは供給サイドの分析でフリーターやニートについて取り上げたところで、終章の要約的文章を引用しますと、
>・・・その結果、フリーター率の増減には経済活動、世帯当たりの有業者数及び学力テストの影響が大きく、逆に世帯主の収入や学校時代に身につける社会適応力に関連する要因の影響は小さいことが示された。
>・・・ニート率の増減には世帯内の有業者数が最も強く影響しており、親の収入と学校内のいじめ及び暴力行為も影響していることが明らかになった。
>・・・分析結果の特徴は、フリーターには親の収入の影響はほとんど見られない一方、ニートに対しては逆にそれを減らす方向に作用することである。つまり、親の収入に依存するためにフリーターやニートに陥りやすいというこれまでの先行研究の指摘は当てはまらない。
若者の雇用問題に関心のある方々には是非ご一読をいただきたい一冊です。
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