個人加盟ユニオンの紛争解決― セクハラをめぐる3つの紛争事例から ―
労働政策研究・研修機構の『資料シリーズ』として呉学殊さんの「個人加盟ユニオンの紛争解決― セクハラをめぐる3つの紛争事例から ―」が公開されました。
http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2010/10-076.htm
呉さんはここずっとユニオンの個別紛争処理活動をフォローしてきていますが、これはその一環です。
>最近、急増しているセクハラ問題の実態とその紛争解決に努めている個人加盟ユニオンの役割を明らかにし、セクハラ問題の解決と予防に寄与することが研究の目的である。
研究方法は、セクハラ紛争解決を行った個人加盟ユニオンに対し、紛争当事者を紹介してもらい、ヒアリング調査を行った。3つのユニオン(兵庫県所在のあかし地域ユニオン、連合新潟・にいがたユニオン、連合福岡ユニオン)から3人の紛争を紹介してもらったが、そのうち、2つの事例について当事者本人から直接ヒアリングを行った。その際、ユニオンと当事者本人が所持している資料を提供してもらい、最大限、セクハラ問題の実態と解決プロセスを公平に解明するために努めた。
>セクハラ問題は、証拠立証が難しく解決が難しいといわれてきたが、個人加盟ユニオンは警察や労働行政が解決できなかったセクハラ問題を解決した。2つの事例は、ユニオンが加害者の会社と団体交渉を行い、紛争を自主解決した。残り1つの事例は、加害者のセクハラ否認・謝罪拒否などで団交による解決ができず、労働審判で紛争を終結した。3つの事例とも、最終的には加害者に対してセクハラ事実の認定、謝罪、賠償金(それぞれ120万円、200万円、350万円)の支払いをさせることができた。個人加盟ユニオンの紛争解決能力が高かった。今回の3つの事例では、ユニオンが紛争の解決だけではなく紛争の予防の役割をも果たした。
わたくしは、こういう外部ユニオンが紛争解決に大きな役割を果たしてきていることは十分に認めつつ、しかしやはり、職場の労働組合こそがその役割を担うのが本筋ではないか、と考えておりますが。これは拙著第4章の問題であり、本ブログでも何回か取り上げたテーマですね。
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