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2010年9月30日 (木)

もう一歩のところまで分かっている藤沢数希氏

本ブログで何回か批判的に取り上げてきた藤沢数希氏ですが、本日のエントリは出色です。

http://agora-web.jp/archives/1100806.html(戦争って意外と簡単にはじまるかも)

尖閣問題から子ども時代の戦争ごっこ、そして進化生物学の知見を踏まえつつ、例の赤木智弘氏の「希望は戦争」を引いて、こう述べます。

>このグローバル資本主義の世界で競争に敗れたものたちに「それでもあなたはこんなに豊かになった世界のおかげで飢えることなく生きていけます。ジャンクフードを食べたいだけ食べれるぐらいのお金なら稼げますよね」といえばいいのだろうか。彼らはそれでもこの競争社会を本当に心から感謝することができるのだろうか。

実際のところお金よりもはるかに格差がつくものがある。それは人々の承認や尊敬、異性を獲得する能力だ。多くの人の時間が限られており、付き合える人数も限られているから、人々が承認したり尊敬したりできる全体の総量は限られたものになる。社会動物である人間は誰もが他人に承認されたいという強い欲求を持っている。しかし人が承認できる総量は概ね決まっているのである種のゼロサム・ゲームだ。多くの人から承認される人気者と、誰からも相手にされない落伍者が必然的に作り出される。

まったくそのとおりです。

人間という生き物は、人様から施しを受けて食えていればそれでいいという生き物ではない。

だから、「捨て扶持」ベーシックインカム論者は、人間という生き物が分かっていないのです。

>「働くのが得意ではない人間に働かせるよりは、働くのが好きで新しい発明や事業を考えるのが大好きなワーカホリック人間にどんどん働かせたほうが効率が良い。そいつが納める税収で働かない人間を養えばよい。それがベーシックインカムだ」(ホリエモン)

藤沢数希氏に「もう一歩のところまで分かっている」と評したのは、ここまで判っていながら、その一歩先にある処方箋をあえて見えないフリをしているからです。

>人々の自由意志を尊重する近代国家では、経済的な富の再分配は可能でも、こういった人の承認や異性をめぐる結果の不平等を再分配する方法はない。

「ない」と言えてしまうのは、藤沢氏が社会的承認の結果の不平等を再分配する社会的仕組みの存在そのものをはじめから「悪」と考えているからでしょう。そんな介入は許し難いというリバタリアン的価値判断がどっかとその前に座り込み、一歩先に進むことをできなくさせているのです。

できるだけ多くの人々にやりがいのある仕事を配分し、社会の中に「居場所」を作ること。藤沢氏やその仲間たちが、頭から毛嫌いする「ソーシャル・インクルージョン」こそが、「希望は戦争」でなくする唯一の道なのですが、その道は藤沢氏にとってはあらかじめ塞がれているのです。

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コメント

藤沢氏はリバタリアンではなくニヒリストで思考ストップですね。
自称経済人類学栗本慎一郎氏や中曽根ブレーンの西部氏レベルとは実に残念です。

http://diamond.jp/articles/-/14451
「経済学の常識からみると
派遣社員の賃金は正社員より高くすべき」

経済学の常識というか世間の常識だよな。。と
タイトルを見て読み始めたらなんと藤沢氏の自著宣伝記事でした。

まあ、タイトルは編集部が付けたのかも知れませんが…

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