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2010年9月 4日 (土)

警察を民営化したらやくざである

リバタリアンと呼ばれたがる人々はどうしてこうも基本的な社会認識がいかがなものかなのだろうかと思ってしまうのですが、

http://d.hatena.ne.jp/kurakenya/20100818警察を民営化したならば

警察とは一国の法システムによって暴力の行使が合法化されたところの暴力装置ですから、それを民営化するということは、民間の団体が暴力行使しても良いということを意味するだけです。つまり、やくざの全面的合法化です。

といいますか、警察機構とやくざを区別するのは法システムによる暴力行使の合法化以外には何一つないのです。

こんなことは、ホッブス以来の社会理論をまっとうに勉強すれば当たり前ではあるのですが、そういう大事なところをスルーしたまま局部的な勉強だけしてきた人には却って難しいのかも知れません。最近では萱野さんが大変わかりやすく説明してますから、それ以上述べませんが。

子どもの虐待専門のNPOと称する得体の知れない団体が、侵害する人権が家宅侵入だけだなどと、どうして素朴に信じてしまえるのか、リバタリアンを称する人々の(表面的にはリアリストのような振りをしながら)その実は信じがたいほど幼稚な理想主義にいささか驚かされます。そもそも、NPOという言葉を使うことで善意の固まりみたいに思えてしまうところが信じがたいです。

警察の民営化というのは、民主国家においてはかかっている暴力装置に対する国民のコントロールの権限が、(当該団体が株式会社であればその株主のみに、非営利団体であればそれぞれのステークホルダーのみに)付与されるということですから、その子どもの虐待専門NPOと称する暴力集団のタニマチがやってよいと判断することは、当然合法的に行うことになるのでしょうね。

国家権力が弱体化すると、それに比例して民間暴力装置が作動するようになります。古代国家が崩れていくにつれ、武士団という暴力団が跋扈するようになったのもその例です。それは少なくとも人間社会の理想像として積極的に推奨するようなものではないというのが最低限の常識であると思うのですが、リバタリアンの方々は違う発想をお持ちのようです。

(追記)

日本国の法システムに通暁していない方が、うかつにコメントするとやけどするという実例。

http://b.hatena.ne.jp/entry/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-143d.html

>thesecret3 えええ、、実際暴力装置としての治安維持活動は日本では民間の警備会社の方が大きくないですか?現金輸送車を守ってるのは警察でもやくざでもありませんよ。

いうまでもなく、警備業者は警察と異なり「暴力装置」ではありませんし、刑事法規に該当する行為を行う「殺しのライセンス」を頂いているわけでもありません。

警備業法の規定:

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=2&H_NAME=&H_NAME_YOMI=%82%af&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S47HO117&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

>(警備業務実施の基本原則) 

第十五条  警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。

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コメント

左翼政党の強い高校に在校していたとき、一部、左翼政党の影響下にある教員たちが不良を手なづけて、外に向かっては更生のシンボルとして、内に向かってはまさに暴力装置として機能していたことを思い出しました。ものすごい抑圧でした。

それ以来、私も同様に考えています。

彼はリバタリアンというより民営化万能主義者です。リバタリアンの真髄はLeave aloneであり反虐待NPOなどとは対極の位置にあります。

警察力(強制力)万能論と、民営化論のくっついた面倒な代物ですね。加えて、似非市民気取り。ただ現首相辺りが好みそうな主張というのが怖いですな。。。

はじめまして、
http://c4lj.com/
↑「Libertarianism Japan Project」運営メンバのtypeAと申します。

上記共同ブログでは蔵氏にもご参加いただいており、
今回取り上げられた蔵氏の記事について、
http://c4lj.com/archives/623332.html
児童保護警察(NPO)が必要だ
↑で多少ブラッシュアップされた形で再掲載していただきました。
関連記事含めてご参照いただければと思います。

確か、中村敦夫氏が「地球発22時」の取材で警視庁を訪れた時に「理想の治安体制は?」と質してたんだよね。それに、警視庁の担当官が「少数の人員で大都市の治安を維持していた江戸時代が理想的」って答えていたんだとか。

よくよく考えたら江戸時代って、五人組で相互監視して人別帳や寺請で個人が厳しく管理されていた時代だった訳で。その上、お上の足りない部分をアウトローが「岡っ引き」として治安維持に当っていた・・・・・巧い具合に「警察の民営化」が実現してるよね(汗

初めまして。
大野正和先生のhpのリンクから来ました。

<ホッブス以来の社会理論をまっとうに勉強すれば当たり前ではあるのですが、>

<ホッブス以来の社会理論をまっとうに勉強>するための何か良い本があれば、お教えください。

<最近では萱野さんが大変わかりやすく説明してますから、>

<萱野さん>とは、萱野稔人さんのことで良いのでしょうか。
萱野稔人さんの本は、何冊か出ています。
どの本のことでしょうか。

我が国の警察は「私人でも可能な警備」も行っているので、警察という言葉に語弊があるのだと思います。
夜警国家の警察は「私人が不可能なことのみ」を行うので、語弊はないと思います。

急を要する際の暴力は私人にも認められているので、刑罰を加えるとか、強制執行するとか、のような「司法のお墨付き」で事前に正当性が付与されている暴力が公的な暴力に特有なものでないでしょうか。私的暴力については、原則、有罪として、急を要する際の正当な暴力であるかは、事後に司法によって無罪、有罪が裁定されますので。人質司法なるものもこのような文脈で考えることができるのかもしれません。警察による犯罪行為であると判断されるリスクを取ってなすべきことが安易に認められている、ということかもしれません。

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