『<働く>ときの完全装備-15歳から学ぶ労働者の権利』
橋口昌治・肥下彰男・伊田広行さんによる高校向け労働法教材『<働く>ときの完全装備-15歳から学ぶ労働者の権利』(解放出版社)をお送りいただきました。本ブログでも橋口さんと伊田さんについてはいろいろやりとりがあり、その際に本書の出版についても語られていましたので、ご記憶の方も多いでしょう。
宣伝文句は:
>店長に「来なくていい」と言われたら、どうすればいいの?
労働基準監督署に行くときに注意した方がいいことって何?
失業や妊娠で働けなくなったときに生活を支える方法は?
働いている人も実はほとんど知らない実践的な基礎知識を、
工夫された教材でわかりやすく学べます。
例えば、社長さんの間違った発言に対し、
正しい労働法カードを選んで反論できるでしょうか?
また掲載された12編のロールプレイ教材では、
店長への反論や団体交渉、労基署の申告などを体験します。
教師用解説も充実しているので、
労働法のことがわからない先生や保護者の方でも安心です。
働く人の視点に立った「使える」教材なので、
ぜひ手にとってみて下さい。
実際、どんな雰囲気かというと、たとえば教材6の不当解雇編、
ワークシート1では、新店長と高橋君の会話がずっとあって、
>・・・新店長「何やその言い方は。雇ってもらえるだけありがたいと思え。料理も接客もできんくせに。ムカつくし、明日から来んでええわ!」
高橋「クビですか」
新店長「そうや!クビや!」
という、まことにありふれた(実際、個別紛争事案を見ているとありふれています)会話があり、
次ページのワークシート2で、かっこ内穴埋め方式で「労働法を学ぼう」というお勉強、
1枚めくってワークシート3で再び会話、
>・・・高橋「解雇ということですか?私は辞めるつもりはありませんが、もし解雇ということなら、その理由を紙に書いてください」
新店長「何で紙に書かなあかんねん」
高橋「法律で決まっているんです。労働基準法第22条に書いてあります」
新店長「法律?何をじゃまくさいこと言うとんねん。・・・・・・もうええわ」
で、次のぺーじのワークシート4で知識の確認、と、まさに学校の先生が普通の子供らに噛んで含めるように教えるような教材になっていますね。
ちなみに、なぜかいつも使用者側は生粋の関西弁です。ただし吉本新喜劇の台本ではありません。
目次は次の通り。
はじめに
1 若者のおかれている状況──労働と自由と生存に着目して
2 労働法と生活保護法の基礎知識
コラム1・高校生が団体交渉!?
■導入編
教材1 仕事オークション
教材2 労働法カードを使って
──こんな社長にはこのカードを出そう!
教材3 労働法○×クイズ
■ロールプレイ編
教材4 未払い賃金を取り戻そう
──ラーメン屋でアルバイトする田中さんの場合
教材5 有給休暇をとろう
──週2日アルバイトする鈴木さんの場合
教材6 不当解雇を撤回させよう
──ラーメン屋で正社員として働く高橋さんの場合
事例・ある女性労働者の闘い
教材7 雇い止めを撤回させよう
──食品工場で期間工として働く渡辺さんの場合
教材8 派遣は何でも屋じゃない!
──派遣労働者の高月さんの場合
教材9 パートだからって安すぎる!
──食品工場でパートする田上さんの場合
教材10 セクハラを許さない職場に
──事務職の中島さんの場合
コラム2・セクハラとの闘い──岡山の事例から
教材11 労働基準監督署に行ってみよう
──解雇予告手当の未払いを申告する場合
教材12 団体交渉をやってみよう
──ユニオンに入って会社と交渉する場合
コラム3・労働法を知ってひどい職場を変えていこう
教材13 労災保険を利用しよう
──仕事でケガしたり病気になったりした場合
教材14 雇用保険をちゃんと使おう
──自分を守る辞め方と失業中の生き延び方
教材15 生活保護のことを知っておこう
──働けないときでも生きていくために
コラム4・過酷な労働実態
おすすめ本
おわりに
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