『Works』101号で拙著紹介
リクルートのワークス研究所から『Works』101号(2010年8/9月号)をお送りいただきました。
特集は「モチベーションマネジメントの限界に挑む」ですが、後ろの方に「研究員の書棚から」という小さなコラムがあって、そこで主任研究員の石原直子さんが拙著『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ』(岩波新書)をご紹介いただいています。65頁です。
>著者の濱口桂一郎氏は、昨今の雇用・労働問題を考えるには、現在の諸問題からやや身を引いて、日本の労働社会のありよう(=日本型雇用システム)の根源に立ち返ってみる必要があると言います。著者によれば、日本型雇用の特徴としてよく挙げられる長期雇用・年功賃金・企業別組合のいわゆる「三種の神器」は、日本型雇用システムの本質ではなく、真に重要なのは、従業員と企業が「職務(ジョブ)」を明確にしないまま雇用契約を結ぶこと、すなわち契約の中身がジョブではなく「メンバーシップ」であることなのです。
雇用の本質がメンバーシップ契約なのだという前提に立つと、三種の神器をはじめとする日本企業の雇用慣行の数々が、システムに合致した非常に合理的な施策群であったことが理解できるわけですが、本書ではその論理がみごとに描き出されています。借り物の成果主義や職務給制度がいまひとつうまく機能しなかった理由にも、合点がいくようになるでしょう。
しかし、頑健だった日本型雇用システムは、ここにきて大きな変化にさらされています。たとえば、現在の企業の構成員にはメンバーシップで雇用される正社員だけでなく、ジョブで雇用される非正規労働者も含まれます。ぜひ本書を手に取って、異なる前提で働く多様な人々を内包できる雇用システムとはどのようなものであるべきか、考えていただきたいと思います。
簡にして要を得た見事なご紹介、ありがとうございます。
ちなみに、石原直子さん、本号の特集の中でも。「誌上研究会2 非正規人材のモチベーションをいかに向上させるか」に登場しています。
>非正規人材をよりうまく活用するといったとき、全員を正社員化する、無期雇用化するといった解が、特に政策的な議論では出てきがちです。しかし私は、それは万能の解なのかという疑問を持ってきました。確かに雇用の安定が、非正規人材の高いモチベーションにつながる可能性はあります。しかし、集まっていただいた3社は、全員を正社員化するという方向に向かっていないにもかかわらず、非正規人材が生き生きと働き、活躍されています。3社それぞれが、彼らが面白く働くために何を提供しているのか、ぜひ伺いたいと思います。
« ソクハイ事件判決文 | トップページ | 北海道はホントに最賃ギリギリが一番多い »
先生、初めまして。ワークス研究所の石原です。
拙文をご紹介頂きありがとうございました(しかも写真付きで。動揺いたしました笑)。
先生のご著書では本当に様々なことを考えさせられまして、何としても多くの企業人事の方にもお読み頂きたいと思い、取り上げさせていただきました。
今後ともよろしくご指導くださいませ。
投稿: naocoworks | 2010年8月12日 (木) 14時10分
こちらこそ、拙著をご紹介いただきありがとうございます。しかも勝手に写真をアップしたりしてすみません。
これからもご活躍を祈っております。
投稿: hamachan | 2010年8月12日 (木) 21時09分