第2法則の培養器
最近第3法則第2号氏の活躍が激しくて、元祖3法則氏を忘れがちになってしまいますが、属性しか批判できない品性下衆な第3法則もいいですが、知ったかぶりが露呈する第2法則も捨てがたい味わいがあります。
たまたま藤沢和希氏の「金融日記」に、こういうことをやっていると第2法則が生み出されるなあ、という絶妙な好事例が載っていたので、第2法則を実践したい皆様方のためにご紹介しておきたいと思います。
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51735937.html(まんがで読破シリーズ、イーストプレス)
>それでも、文学作品とか、有名な哲学書とか、昔の心理学の大御所なんていうのは、知っているとものすごく教養の高い人、頭のイイ人、上流の人に「みられる」ので何かと得します。
ワインなんか飲みながら「それってディケンズの小説みたいだね」とかいって淑女と会話をはずませるもよし。
経営者とちょっと飲む機会があったら「なるほど時にはマキャベリのように振舞うことも大切なんですね」とかいって相槌を打つもよし。
経済の話になったら「資本主義が洗練されてきた結果、結局マルクスのいっていた矛盾につきあたったわけですね」みたいにわけのわからないことをいってみるのもいいです。
どうせ相手も自分が何をしゃべっているのかわかっていないのだから。
で、こういう教養の話をする人は、だいたい社会的地位の高いけどどことなく不幸な人や、金持ちだけどちょっと憂鬱なんて人が多いので、自分のことをいろいろと聞いて欲しいだけだから、特に詳しい知識を持っている必要はありません。
大まかなあらすじだけ知っとけばいいのです。
そんなことで通用するのか、とご心配なあなた、大丈夫です。
>金融やコンサルティング業界は、昨日寝る前にはじめて勉強したことを、あたかも10年前から知っていたように話すような人ばかりです。
でも、それでなんの問題もありません。
なるほど、金融やコンサル業界はこれで全然問題ないみたいです。
この業界には、知ったかぶりして、だれぞの本にはこんなことが書いてあったといえば、それをわざわざ確認して、「どこにそんなことが書いてあるんだ、この嘘つきめ」と追求するような暇人はいないということなのでしょう。
ただ、すべての業界でそれが通用するわけではありません。
通用しない業界で、通用するだろうと思ってそれをやると、「第2法則」になってしまいますので、ご注意あれ。
(参考)
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/87a589c70b31090d1f7557c9855d9d2b(フリーターを「正規雇用」に)
>天下り役人 (池田信夫)
2007-12-18 09:10:16
ちなみに、彼の自慢の『世界』論文も、あまりにお粗末な知識に唖然とします:
http://homepage3.nifty.com/hamachan/koyounokakusa.html
<日本でも戦前や戦後のある時期に至るまでは、臨時工と呼ばれる低賃金かつ有期契約の労働者層が多かった。[・・・]彼らの待遇は不当なものとして学界や労働運動の関心を惹いた。>
というように、戦前の雇用形態について問題を取り違え、「臨時工」は昔からかわいそうな存在だったと信じている。そんな事実がないことは、たとえば小野旭『日本的雇用慣行と労働市場』のような基本的な文献にも書いてあります。こんな「なんちゃって学者」が公務員に間違った教育をするのは困ったものです。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_c013.html(一知半解ではなく無知蒙昧)
>尊敬する小野旭先生が『日本的雇用慣行と労働市場』のどこで、昭和初期に臨時工は何ら社会問題でなかったなどと馬鹿げたことをいっているのか、池田氏は小野先生の名誉を傷つけて平気のようです。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html(池田信夫氏の3法則)
>池田信夫氏の第2法則:池田信夫氏がもっともらしく引用する高名な学者の著書は、確かに存在するが、その中には池田氏の議論を根拠づけるような記述は存在しない蓋然性が高い。
もしそういう記述があるのであれば、何頁にあるとすぐに答えればいいことですからね。
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