簡裁の労使調停機能強化
本日の日経の記事から(ネット上は最初のパラグラフだけですが)、
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE3E0E5EBE2E3EBE2E3E6E2EAE0E2E3E29180EAE2E2E2
>雇用や賃金を巡る労使間トラブルの増加に対応するため、最高裁は簡裁での民事調停の仕組みを見直す。労働問題に詳しい弁護士に調停委員として参加してもらい、紛争処理機能を強化する。地裁より少額の訴訟や調停を扱う簡裁でも労働紛争への対応を強化することで、幅広いニーズに応えるのが狙いだ。来春をメドに東京簡裁で試験的に始める。
現在、個別労働関係紛争は判定的解決が裁判所の労働審判へ、調整的解決が多くが都道府県労働局へ、一部が都道府県労働委員会(または労政事務所)へという形になっていますが、もともと裁判所がもっている民事調停という仕組みを、後者の仕組みの一つの軸として確立しようという考え方でしょうか。
実は個別労使紛争問題が議論されていた頃、民事調停を拡充して労働調停を、というのは経営側が主張していたことだったのですが、司法制度改革の流れの中では参審制との絡みの中で労働審判制の制度化へとすすみ、簡易裁判所の民事調停自体の拡充は取り残された形になっていました。
これがどういう形で進んでいくことになるか、注目していく必要があります。
(参考)拙著『労働法政策』より
これに先立ち、日経連と連合もそれぞれ個別的労使紛争解決制度について提言を行った。
まず日経連は1998年4月、「労働委員会制度の今後の在り方について」において、個別的労使紛争の処理機能を新たに労働委員会に持たせることについては、「公平性確保の観点から、またその解決の力量の点からも使用者としては危惧の念を拭い得ない」とし、「賛成できない」と明言している。また上記労働基準法改正案による労働基準局長の助言指導についても「使用者に対して強力な監督権限を持っている労働基準当局が個別的労使紛争に介入することには問題がある」と批判的である。
紛争処理制度としては、第一義的には企業内の紛争処理機関により未然防止と自主解決を図るべきとしつつ、企業外部の機関としては「個別の権利義務の存否を判断するのを本分とする裁判制度が利用されるのが本則であり、当事者が調整的解決を求める場合には、既に同じ司法制度内に存置されている民事調停を活用することが適当」とし、必要があれば専門性を確保するために、民事調停制度の中に労使問題の特別調停である「雇用関係調停」の創設を考慮すれば足りるとした。
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