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2010年8月18日 (水)

非正規雇用問題に関する労働法政策の方向

労働問題リサーチセンターの調査研究報告書『非正規雇用問題に関する労働法政策の方向-有期労働契約を中心に』は、まさに今ホットなテーマとなりつつある有期労働契約を中心に、非正規問題の比較法的研究を行っています。

http://lrc.gr.jp/research/r_2101.html

主査は東大の荒木尚志先生で、各章の執筆者は、

序章 非正規雇用問題と法政策の方向性(荒木尚志)
第1章 交渉代表選出手続における非正規労働者の位置づけ(竹内(奥野)寿)
第2章 フランスにおける集団的労働条件決定と非正規従業員(桑村裕美子)
第3章 ドイツ事業所組織法における労働条件設定システムと非正規労働者(成田史子)
第4章 非正規労働者と正規労働者の処遇格差と差別禁止法理(富永晃一)
第5章 英仏における最低賃金法制の役割(神吉知郁子)
第6章 「ワーキングプア」の現状及び法的課題(石崎由希子)
第7章 フランスの有期労働契約法制(奥田香子)
第8章 ドイツにおける有期労働契約規制(石崎由希子)
第9章 オランダの解雇規制と有期労働法制(本庄淳志)
第10章 イギリスの有期契約法制(櫻庭涼子)
第11章 韓国における期間制法の施行と対応(崔碩桓)

となっています。

この報告書の特色は、なんといっても、非正規労働問題に対する法規制として、実態規範を直接規制する均等待遇や更新規制のようなアプローチと並んで、「非正規労働者に労働条件決定の公正なプロセスを保障する手続規制アプローチ」を正面から取り上げ、第1章から第3章までで詳しく検討しているところです。奥野さんのアメリカ、桑村さんのフランス、成田さんのドイツなど、いずれも大変役に立ちます。

非正規労働問題から「集団的労使関係の再構築」へ、というのは拙著『新しい労働社会』のアプローチでもありましただけに、わたくしには大変興味深い報告書でありました。

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