自治労委員長「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」
自治労の徳永委員長が、定期大会の挨拶で「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」と述べたと報じられています。
http://mainichi.jp/select/wadai/archive/news/2010/08/26/20100826dde041040019000c.html(徳永・自治労委員長:「非正規と賃金シェア」 勧告で削減分を転用)
>自治労(全日本自治団体労組)の徳永秀昭委員長は26日、徳島市で開かれた定期大会のあいさつで、「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」と述べた。一例として、人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、削減分を非正規職員に配分する方向で労使交渉を進めることを提案。正規と非正規の格差解消に向け、産別労組のトップが具体的な提案をするのは極めて異例で、労働界全体に影響を与えそうだ。
徳永委員長は、一部の正社員が賃下げを受け入れて非正規雇用をなくした広島電鉄の例を挙げ、「正規・非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動展開が必要な時期に来ている」との考えを示した。
自治労の委員長がここまではっきりと言うまでに至ったか、というのが正直なところです。
そして、二重三重の意味で既得権の象徴であるかのように見られている自治労だからこそ、これを明確に打ち出す必要性が最も高いのでしょう。
黒川滋さんがこの件について、
http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/2010/08/827.html(徳島で開かれた定期大会の用務)
>毎日新聞等で報道されていた、人事院勧告による賃金カット分については非正規労働者の底上げに、というあいさつのくだりについては、うちが正規職員中心の労働組合であった経験が長いため、大会の参加者にとまどいも多く、のちの討論でそのくだりを後退戦だと批判する意見も少なくなかった。しかし、同じ仕事をしていながら低賃金労働者がいることをいつまでも具体論なく放置すればどういうことになるのか、という問題意識と、制度として公務員制度改革によって公務員に労働協約権が認められ、それぞれの自治体での労使合意で賃金が決まるようなことになっていけば、おのずと今回の委員長の言ったことが、労働運動での敵や伏兵を減らし、必ずしも正規職員にとっての不利益な話ではない、とよくわかってもらえるのではないかと思う。
と述べています。
本ブログで、橋口昌治さんの拙著批判に対して、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-8ec8.html(橋口昌治さんの拙著批判について)
>>主流の労働組合が自ら率先して民主的な組合運営、職場の民主化を進めていくと考えているのだとしたら、濱口氏を「リアリスト」だと評価することはできない。実際、今これほど労働問題への関心が高まっているのはユニオンが「騒いだ」からこそであり、主流の組合は腰が重いのが現状である。
>「叫び」だけで現実の職場における正規と非正規の格差が消滅するわけではありません。
現実の職場でそれを遂行するためには、「叫ぶ」ことに粘り強いユニオンではなく、使用者との交渉に、そして何より正社員組合員を説得することに粘り強い企業別組合が、粘り強く遂行しなければなりません。
最近よく取り上げられる広島電鉄の労働組合の事例は、まさにそのいい例だと思います。
と申し上げたのは、まさにこういう動きを企業別組合自身が始めるのでない限り、本当に世の中が動くということはないのだ、という趣旨であります。
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